2013年10月13日日曜日

閉めきった室内で 3Dプリンターを動かすと有害 ? 

ここ数年来、3Dプリンターに比較的低価格な一般家庭向けモデルが登場し、家電量販店でも見かけるようになってきた。DIY のように 3D プリンティングを趣味にする人も急増することが予想されるが、米国イリノイ工科大学の研究チームが学術誌  Atmospheric Environment に発表した研究報告によると、閉めきった室内でプリンターを動作させるのは健康にとってはあまり良くないようだ。


イリノイ工科大学の研究者たちは、閉めきった室内で 3Dプリンターを稼働させたときに人体に及ぼす影響と、室内で喫煙したときの影響とを比較検証した。その結果、風通しのない部屋で、マスクなど防護が一切ない状態で 3Dプリンターから発する「煙」を吸い込むと、長期的に見れば健康を損なう可能性があるという。

「市販されている 3Dプリンターの一部には、換気のない部屋で何も対策を取らずに動かすのは注意が必要な機種もある、ということだ」。プリンターから立ちのぼる「煙」の正体は、可塑性素材から発生する UFP と呼ばれる超極微粒子だ。普及版3Dプリンターは、粉末状の樹脂を出力ヘッドから押し出し一層ずつ積み上げて造形するため、造形中のヘッド部から UFP が発生する。

ちなみにプリントに使用する素材の違いによって、その「臭い」もずいぶん変わる。たとえば Makerbot Industry の Replicator 2 に代表されるデスクトップ型3D プリンターの場合、もっとも一般的に使用される可塑性材料は ABS と PLA 樹脂だが、ABS のほうは融解すると不快な刺激臭があり、換気のない部屋で吸引すれば咳き込んだりする。対してPLA のほうはどうかと言えば、3Dプリンターユーザーの言葉を借りれば、「ワッフルのような、場合によってはハチミツのような」ほのかな香りがするだけ、という。

ホームユース向け3Dプリンターを製造販売するメーカー側は、こういった「潜在的危険」について、ユーザーに対してほとんど周知していない。

Replicator 2  の場合、製造元サイトが注意を呼びかけているのは、プリンター作動中はその場を離れないこととか、エクストルーダーと呼ばれるプリントヘッドは超高温( 約 230 °C )になるため、出力中やその直後は機器内部に触れないこと( やけどのおそれがある ) といったことだけだ。