2013年10月22日火曜日

Voxeljet AGのADR、初上場でいきなり2倍に

10月18日、ニューヨーク証券取引所 ( NYSE ) に ADR( 米国預託証券 )を初上場したドイツの産業向け大型 3Dプリンター メーカー、Voxeljet AG (VJET.N) は、取引開始早々に高値をつけて関係者を驚かせた。

同社 ADR は1株当たり下限価格の 13ドルで売り出されたが、取引開始直後から急上昇し、売出価格の2倍超となる 27ドルの最高価格をつけた。同社と同株保有者は 650万ドルを販売した段階で、8,450万ドルの利益を得たことになり、公開価格が低すぎたのではと疑問視する向きもいる。

Voxeljet AG は、一般消費者向けの 3Dプリンターを量産するメーカーではなく、企業向けに特化した大型 3Dプリンターメーカーだ。2012年公開の映画「007 スカイフォール」で使用されたアストンマーチン DB5の精巧なレプリカ 3台も、同社の大型 3Dプリンターで製作された「作品」だ。

近年、プリンター製造コストが低下するいっぽうで、3Dプリンターの需要は急伸し、業界大手各社の株価も軒並み値上がりしている。たとえば産業向け 3Dプリンターメーカーの ExOne Co は2月に株式を新規公開して以来、価格は 2倍に跳ね上がり、3D Systems は前年度比でやはり2倍以上をつけている。反対に、Stratasys Ltd 株は 70ポイント高にとどまっている。

Voxeljet AG の報告書によると、6月末締めの2013年度半期の利益は 580万ドル、計上損失は 48万9,000ドルだという。またある投資会社によると、Voxeljet AG は今後、未開拓のアジア太平洋地域へ事業拡大する計画だという。同社は、今回の IPO で得た利益をオンデマンド・プリント事業や新規の研究開発に振り向けたい考え。