2013年11月10日日曜日

3Dプリンターに乗り気になれない5つの理由

3Dプリンター ファンに一言。頭を冷やせ。

3Dプリントは次世代の産業革命だ、と喧伝するテクノロジーの予言者たち。彼らの声に乗せられ、自宅地下室ににわか工場を構えてトヨタやボーイングの向こうを張る個人ユーザー。投資家も我先にと、 Stratasys Ltd.、3D Systems Corp、ExOne Co. といったプリンター製造メーカー株に群がる。HP でさえ、この 3Dプリンター市場に参入するのはもうまもなくだろうと言われている。


だが、3Dプリンティング技術がこの世に出現して 30年ほどが経過したことを考えると、業界規模は思っているほどには大きくない。あるコンサルティング会社の試算では、2012 年度の 3Dプリント業界の収益は 世界全体で 22億米ドルで、その半分は設計・試作関連が占めるという。完成された製品に限った収益は約 28% の 6億ドルに過ぎず、これは製造業の世界全体における収益の 0.01% にも満たない数字だ。

以下、3Dプリントにおける問題点を5つ挙げる。
  1. ロードバイクや携帯電話の自作は、数年先になってもできない。

    今や MakerBot などのホームユース向け 3Dプリンターは 2,200ドルほどで購入可能になったが、このような廉価帯機種で造形できるのはせいぜいが装身具や小間物だ。一般個人ユーザーが壊れた冷蔵庫の部品を自作できるようになるには少なくともあと 10年はかかる。
  2. そんなに速くない。

    プロユース向け高級機種でも、複雑な形状の物体を造形するには何時間、場合には数日かかる。3Dプリントの現状は遅くて高コストであり、大量生産には向いていない。
  3. できあがってもすぐに使えない。

    造形する物によっては研磨などの仕上げ工程が必要となる場合が多い。小物の場合は製品同士の接着などといった作業も必要だ。
  4. あらゆる素材に対応するメリットという点では射出成形などの従来方式が有利

    現段階では 3Dプリンターで加工可能な素材にはプラスチックやセラミック、一部の金属といった制約がある。
  5. 現行製品では車や飛行機を「まるごと」プリントアウトできない。

    たとえば Stratasys の最大級プリンターでも、対応可能な物体はせいぜい 1m 四方ほど。競合他社ではさらに大型の製品が製作可能なプリンターを開発中だが発売時期がいつになるのか、また巨大な構造物の造形が問題なく行えるかといった点に関しては依然として不透明なままだ。
とはいえ、3Dプリント、正式には積層造形という生産方式がさして重要ではないと言っているのではない。3Dプリント加工技術によって、製造各社は試作品の設計と試験が速く、容易に行えるようになったし、複雑な形状の部品を一発で造形できるという点は、従来方式の加工では不可能だったことだ。

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