2013年12月8日日曜日

「安くて自作可能な」金属 3Dプリンターの開発が進行中


産業用 3Dプリンターで造形可能な素材と言えば、これまでは光硬化ポリマーなどが主流だったが、いずれはオープンソースを最大限活用して、だれでも「金属製品が造形可能な」3Dプリンターが自作できる世の中が来るかもしれない。

ミシガン工科大学( MTU )材料工学および電気・コンピュータ工学准教授  Joshua Pearce 氏らの研究チームは、この「金属製品が出力できる安価な自作 3Dプリンター」の開発に取り組んでいる。

「まだ開発途上なので、現時点で造形可能なのはスプロケットくらいのもの。でも RepRap プロジェクトのように、製造業界が肩入れすれば急激に進化するはず。ひと月も経たないうちに、われわれのよりさらにすぐれたプリンターを作る人が間違いなく出てくる」。

市販の可搬式 MIG溶接機やオープンソースのマイクロコントローラーなどを使用して組み立てた金属 3Dプリンターにかかる材料費は 1500ドル以下。一般的な金属加工用の積層造形機の価格は 50万ドル以上はする。

同チームが開発中の金属 3Dプリンターは市販の樹脂出力用の 3Dプリンターよりも安く手に入れられるが、「保護具や消火器具を用意する必要があるため、現段階ではこのプリンターの組み立ては専門のショップか業者に任せることを推奨したい」。

金属製品の出力可能な 3Dプリンター、とくると、どうしても銃砲類の違法製造の問題がつきまとう。Pearce 准教授もこの問題について、眠れない夜が続いたと認めるが、3Dプリンティングによるあらゆるタイプの分散型生産から得られるメリットのほうがはるかに勝っていると考えている。そして、既製品を購入するより自宅で 3Dプリントアウトしたほうが環境にも優しい。

とりわけ既成品が入手困難な開発途上国の人々と、試作コストの大幅な低減が見込める研究者にとって、3Dプリント可能な製品の幅が広がるのは大きな恩恵になるはずだと同氏。「中小企業であっても、無償でダウンロード可能なオープンソースのデザインを使用して簡単に、しかも素早く部品や道具を組み立てることが可能になる。経済に革命を起こし、多くの人がこの恩恵に預かるようになるかもしれない」。

「このようなプリンターを取り扱えるほどわれわれが成熟しているかどうかはわからないが、こうしたオープンソースの取り組みにより、広範な製品がオンデマンドで製作可能になり、その結果、最小コストで富の分配ができる社会が到来するのももうすぐだと思う。いずれ、作れないものはほとんどなくなるだろう」。

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