2013年12月23日月曜日

学生たちが自作した「最安」3Dプリンター、Deltaprintr

ニューヨーク州立大学( SUNY )パーチェス校工学部の学生 Shai Schechter 氏とその友人たちは、最も安価な組み立て式 3Dプリンターを自分たちの手で生産しようとしている。

同氏によれば、Deltaprintr と命名されたそのプリンターが誕生したそもそものきっかけは、「大学には光造形と粉末造形の 3Dプリンターがあるにはあったけれども、バケツ一杯分のプラスター粉末だけでも 500ドルはかかり、2回ほどで使い切ってしまう。だからプリンターを使用するカリキュラムもほとんどなかった」。

そこで Schechter 氏は新しい 3Dプリンターを自作することを思い立ち、彫刻を教える教授に助言を求めた。試作機では使用素材をプラスター粉末から樹脂に変更し、3人の仲の良い友人に協力を仰いだ。

彼らはこの企画を Kickstarter プロジェクトとして立ち上げ、わずか1週間で資金調達目標額をほぼ達成するほど。価格はユーザー自身が組み立るキットタイプが 475ドル、完成品タイプが 685ドルと破格の安さが最大の特徴だ。

Deltaprintr はその外観もユニークだ。造形ヘッド( エクストルーダー )は3本の交換可能なレール上を3つのステッピングモーター制御で移動するアームの先端に取り付けられており、アームを固定するのは MakerBot のようなベルトではなく「釣り糸( 65lb Spectra fishing line )」なので、背の高いオブジェクトを造形したいときはレールごと取り換えることも可能。現在のバージョンは高さ2フィートと 2.5 フィート( 約 76 cm )の2種類が用意されている。既製の 3Dプリンターと比べ、Deltaprintr はひじょうにシンプルな構造のため、価格も大幅に低くすることがだきたという。最小積層ピッチは 100 μm 。

「これは教育機関での導入を考えて作られている。ユーザー自らプリンターを組み立てることで、3Dプリンティング技術がどういうものなのか、その原理を体感できる。ほんとうの意味でプリンターを扱えるようにしてもらいたいので、Kickstarter 上でも組み立てマニュアルを用意してある」と Schechter 氏。

現時点では Deltaprintr は教育機関向けツールという位置づけだが、将来的には量販も視野に入れている。

「いま、様々なアイディアが豊富にあり、来年にはそれらを製品化していく計画だ。Dltaprintr はさらに使いやすく、価格ももっと安くできるだろう」。