2014年1月2日木曜日

2014年、デスクトップ 3Dプリンターが克服すべき5つの課題

2013年、「3Dプリンター」という言葉は誰もが耳にし、あるいは友人の家やショッピングモールで現物を見かけたという人もいるかと思う。明けて 2014年は 3Dプリンターメーカー各社にとって、高まってきた一般消費者の認知度を十全に活用し、一般家庭に 3Dプリンター導入を促す一大チャンス到来の年だと言える。ここで、一般消費者にターゲットを絞るプリンターメーカー各社が取り組むべきことを5点、挙げる。

1. シンプルであること

3Dプリンターの最高の形は、とにかくシンプルであることに尽きる。これから 3Dプリンターを買おうとするユーザー層は、温度設定や作動中のプリンターにかかりきりになるのを望まない直感的操作という観点では、現段階では MakerBot 製品が優れているが、それでもまだユーザー自身が直接関わる必要のある部分が多く、完全なメンテナンスフリーというわけではない。とにかくいま必要とされているのは、シンプルでかんたんなソフトウェアと、3Dプリントのテクニカルな問題はすべてマシン側で処理してくれるプリンターだ。

2. 速いこと

操作の複雑さに加え、現在市販中の 3Dプリンターを使用してイライラさせられるのは、3Dオブジェクト造形に時間がかかりすぎることだ。エスプレッソカップひとつのプリントアウトに 45分はかかるし、それ以上の大きさのオブジェクトの出力には数時間はかかる。これでは宝の持ち腐れだ店に買いに走ったほうが手っ取り早い。だが、CEL のRoboxや Radiant Fabrication の「Lionhead Bunnyなどのプリンターは複数のプリントヘッドを装備しており、造形にかかる時間を短縮している。CEL の Robox は高速処理用と微細な仕上げ用のデュアルヘッド仕様となっており、このような「複数ヘッド」搭載は大いに売りになる。

3. 熱溶解積層法( FDM )に代わる新たな造形方式の採用

現在市販されているデスクトップ型 3Dプリンターは、熱溶解積層法( FDM )による造形方式を採用している。たとえば Formlabs の「Form 1」は、FDM の代わりにステレオリソグラフィー( 光造形 )方式を採用している。またスタンフォード大学の博士号取得卒業生らが起業した Full Spectrum Laser ( FSL ) の「Pegasus Touch Laser」も、従来の FDM 方式では困難だった複雑かつ高品質の造形も高速で実行できる。いま一つは粉末焼結積層造形法( SLS )があるが、こちらの方式は一般家庭用としては安全面において難ありかもしれない。とにかく造形に時間のかかる FDM 方式から、高速かつ優れた方式へ移行するのも時間の問題だろう。

4. 幅広い素材への対応

現在、デスクトップ 3Dプリンター用の素材として一般的なのは ABS および PLA 樹脂だが、この状況も材料科学の進歩によってゆっくりだが着実に変化しつつある。業務用の大型機種ではすでに硬度の異なる様々な素材を同時に使用しての造形が可能になっており、たとえばヒンジと靴を同時に製作することもできる。MakerBot も従来の樹脂素材より弾力性を高めた新製品「Flexible Filament ( ↓ 動画参照 )」をリリースしたし、2014年の暮れには、ABS と PLA は数多くの選択肢の1つに過ぎなくなると言っても的外れにはならないだろう。




5. 低価格化

最後に、以上挙げてきた条件すべてを満たす 3Dプリンターが 1,000 米ドル未満で手に入れることができたら、それこそ夢みたいな話だ。現時点でこれら5つの課題を克服したプリンターは1台もない。