2014年1月6日月曜日

三菱商事が金属光造形複合加工機を北米市場に本格投入

日本の商社最大手の三菱商事は今月下旬から、最新鋭の金属加工用複合 3Dプリンターを北米市場に投入する。対象は医療、航空、携帯電話関連産業で、参入初年度は 10社以上への納入を目指す。価格は1台 84万5,946米ドル( 約 9千万円 )。

産業向け 3Dプリンター市場において、これまで米国のみならず欧州や中国メーカーと比べても後塵を拝していた感のある日本が、最新の自国製品を引っさげて本格参入する格好だ。今回、北米市場に本格投入されるのは松浦機械製作所が 2011年から販売している金属光造形複合加工機 LUMEX Avance-25。この複合加工機の最大の特徴は、3Dプリンティングと同様の加法加工と従来の減法加工のハイブリッド機という点で、このような造形機は世界でも唯一だという。製造元によれば、これ1台で金属レーザー焼結積層加工とエンドミルによる高速切削加工をシームレスに実行でき、高コストかつ時間のかかる金型・鋳型製作の大幅な低コスト化・省力化が実現できるとしている。積層造形はイッテルビウム( YB )ファイバーレーザーで行い、これにより非常に複雑なシンメトリー構造の部品(  25 x 25 x 18 cm まで )でも、大量生産現場で要求される高精度での造形が可能になる。

もし、このレーザー焼結積層造形+高速切削加工という「ワンストップ方式」加工機が米国で販路を開拓できれば、金型・鋳型製造業界は新たなテクノロジーの選択肢を得ることになるし、3Dプリンティング=安価なプラスチック樹脂の試作品製作用という概念をも払拭できるかもしれない。

今回の三菱-松浦機械による日本勢の北米市場本格参入を見ると、日本の技術的潜在力を開花させる起爆剤となるのは、高価格帯の産業向け金属加工用 3Dプリンター市場ではないかという気がする。