2014年2月11日火曜日

世界初、「空気で膨らむ」3Dプリントの「花」

ニューヨークのスクール・オヴ・ヴィジュアル・アーツ( SVA、4年制私立大学 )の修士課程に在籍する Richard Clarkson 氏は、このほど「空気で膨らむ」花のオブジェ、「Blossom( 蕾 )」を公開した。このように「空気で膨らませることが可能な」造形物の 3Dプリントアウトは、今回が世界で初めてだという。

この「Blossom」、同氏が母国ニュージーランド・ウェリントンのヴィクトリア大学デザイン学部に在籍していた 2012年5月にはすでに完成していたが、これは イスラエルの Objet( 2012年に米国大手 Stratasys と合併 )の多素材対応型 3Dプリンター「Connex」シリーズとのコラボレーションプロジェクトの1つとして制作されていたもので、Objet 側に優先的権利があったため、今年になって日の目を見ることになったという。

「Blossom」は、写真用品のブロワーのような形をした空気入れで空気を送り込むと、本物の花と同じように、ゴムでできた黒い「花弁」内の中空部分が膨らんで花弁が開き、鮮やかな色の「柱頭」が現れる仕組み。

Clarkson 氏のヴィクトリア大学時代の恩師 Tim Miller 工業デザイン科上級講師によると、そもそものきっかけはコースの課題のために制作されたものだという。

「当時、学内でデザイン関連の会議を開催していたため、展覧会に出品してもおかしくないような訪問客用の記念品を、3Dプリンターを使って作らせていたのです」。

「Blossom」は花びらがゴム素材 100%、中心部が透明硬質樹脂素材の Fullcure 720 でできており、その他の部分はこの2つの混合だ。制作当時、「Blossom」の 3Dデータはプリンター製造元の協力によって香港へ送られていたという。

3Dプリンターの秘める潜在力には目を見張るものがある、と Miller 氏。以前は、法外に高いコストや素材の品質などの理由で制作不能だった物が、3Dプリンターさえあれば、ほとんど何でも生み出せる可能性がある。すでに、工期わすが1日以内で住宅まるごとプリントアウトする方法の研究に着手した企業まである。

「コストダウンがさらに進めば 3Dプリント技術はますます重要性を増してくる。3Dプリンターを使用した生産方式は、今後もっともっと増加するでしょう」。