2014年2月17日月曜日

人体器官も 3Dプリントアウトする時代になる? 

3Dプリント技術の進化は驚くべきペースで進行中だ。そのうち人間の体も 3Dプリントできてしまうのだろうか? 

「3Dプリンターで生成した人工人体組織」は「生体印刷( バイオ プリンティング )」とも呼ばれ、今、もっとも物議を醸している革新的技術だ。

このバイオ プリンティングに関して、英国のインクトナーベンダー PrinterInks と Organovo は共同開発チームを発足させた。Organovo は機能性人体組織デザインと 3Dプリントによる視覚化、それを研究および治療適応に提供することを専門とする米国のベンチャー。

3Dプリントされた細胞の生成は、まず癌細胞や幹細胞の検査を受けた患者本人の生検片から細胞を抽出する。次にマルチウェルに入れた細胞増殖培地で培養し、細胞が成長すると集められて球状または他の形にされる。球状になった細胞群は特製プリンター カートリッジに装填され、人工器官の素地となる「BioInk」となる。

次にこの「BioInk」を、細胞どうしを立体的に支える骨組みの役目をする水溶性ゲルとともに「NovoGen MMX 生体プリンター」のカートリッジに注入する。プリンターはゲルと「BioInk」の2つのカートリッジから出力された細胞層とを交互に積み重ね、生成された細胞層は自然に癒着する。所定の分量までプリントが済むと、立体生成された生体組織は成長して構造体となり、この時ゲルは除去される。生体印刷の実験を行なっている他の事例では、砂糖水を血管構造の支持体として使用して大きな成果を上げている研究者もいるという。

現段階では、このような 3Dプリントアウトされた生体組織は病変部位の経過観察など医学研究目的で使用されるのが主流だが、将来的にはこのような生体 3Dプリンターを使用して単純な人工組織を作り、それを患者の体内器官に埋め込むことになるだろう。もし正式に認可されれば、器官をまるごと 3Dプリントすることも10年以内に実現可能になるかもしれない。

こうして生成された人工器官の「品質」と、人工器官生成の制限権は誰にあるのかについて、かねてより倫理上および道義的観点から問題視されてきた。3Dプリントによる人体器官生成は人間と機械の境界線を一段と曖昧にさせ、人間に「神の役割」を無制限に与えることになるとの懸念がある。

だが、このような「生体印刷」は、20年前には不可能だった治療を可能にする革命的技術であることも否定できない事実だ。

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