2014年2月22日土曜日

きわめてタフな 3Dプリンター、「RoboBeast」リリース

南アフリカの大工 Richard van As 氏と 米国シアトル在住のデザイナー Ivan Owen 氏は、3Dプリンターによる義手自家製造と提供を実現する「RoboHand」プロジェクトを立ち上げ、手首から先が欠損して生まれてきた子どもたちや事故で手首から先を失った人たちなどに、きわめて安価に義手を「ホームメイド」する方法を開発したことで知られる( → 過去記事 )。

その両氏がこのたび、「RoboHand」造形用 3Dプリンターとして「RoboBeast」をリリースした。このプリンターの特徴は、ハードウェア メンテナンス不要、複雑なセットアップ操作も不要というメリットが挙げられるが、なんといっても造形加工中にひっくり返っても正常に動作し続ける点が最大の特徴だ。

最貧国では、指を失った人の多くが何千ドルもする高価な筋電義手が買えずにいる。一方、現在市販されている 3Dプリンターはたいへんデリケートな取り扱いが要求され、たとえば造形加工中に少しでも本体が動くとプリントヘッド( エクストルーダー )がずれたり、ちょっとした衝撃を受けただけで動作不能に陥ったりすることがある。

「RoboBeast」はオープンソースの RepRap をベースとしたきわめて高剛性、高耐久性を誇る 3Dプリンターで、被弾してもびくともしない。造形加工中に逆さまになっても平気。「RoboBeast」は車に放り込んで遠隔地まで運び、現地に着いたら面倒な調整なしにただちに作業に取りかかれることをコンセプトに開発されたすぐれものなのだ。Van As 氏は、南アフリカの専門技術者および起業家で作る House4Hack の後援を受け、2か月半で「RoboBeast」の試作機を組み立てた。

Van As 氏の「RoboHand」プロジェクトは世界的に知られるようになり、内戦下のスーダンで手指を失った子どもたちに義手を現地で製造可能にするProject Daniel」も生まれている。「RoboHand」に対する需要が高まる中、同氏はもっと扱いやすい 3Dプリンターが必要だと痛感するようになった。「Project Daniel」が本格的に動き出して以降、高耐久の 3Dプリンターの必要性はますます明白になった。

「RoboHand」は 200 x 200 x 200mm を超えるサイズの造形が可能。同氏によれば、次期バージョンでは自己調節機能や、5時間連続動作可能なバッテリーを搭載予定だという。

参照元記事1.
参照元記事2.