2014年3月10日月曜日

オランダ発 住宅まるごと3Dプリント

オランダの建築設計事務所 DUS Architects は、住宅1軒まるごと3Dプリントアウトするという実験に取り組んでいる。

DUS Architects は首都アムステルダム北部の運河に面した空き地でこの建築実証実験を行なっており、作業の模様は有料で一般にも公開され、建築作業の一部にその収入が充てられる( 1人 3.45米ドル )。

同事務所によれば、この実験のため、オランダの3Dプリンターメーカー Ultimaker にデスクトップ型3Dプリンターを巨大化したような高さ6m もある住宅建造専用プリンター「KamerMaker( オランダ語でルーム・メイカーの意 )」を特注、運搬用コンテナに入れて現場まで搬入した。このプリンターで建築するのは現地で「カナルハウス」と呼ばれる住宅で、現場でプリントアウトしながら組み立てる。すべて計画通りに進めば3年以内にカナルハウスは完成するという。

これが、「世界初の3Dプリントアウトされた住宅」になると言えるかどうかはまだわからない。「KamerMaker」が1回で出力できる最大寸法は 2.2x2.2x3.5 m で、同事務所によれば、各部屋は個別にプリントアウトされ、それぞれ安全検査を経て組み立てられるという。「各部屋は数種類のパーツからなり、大きなレゴブロックのように連結して組み立てられる」と事務所側は述べている。

この3Dプリントされた巨大な LEGO ブロック状の建材は内部が中空で、ハニカム状の骨組構造の支持体を持ち、壁には配線と配管用の空間が用意されている。

ただしここで、3Dプリンターの将来について根本的な疑問が生じる。これほど巨大な物体 ―― 住宅用3Dプリンター ―― を作り、それを使用してもう1つの巨大なモノを作るというのは果たして本当に効率的な工法なのだろうか? 

現在、高さ3m の建材ブロック1つプリントするのに1週間はかかる。同事務所代表者によれば、2時間以内の出力を目指すという。

また、同様のブロックの出力において、数 cm 分高すぎるという問題も発生している。建材として使用しているのは「Macromelt」と呼ばれる菜種油から製造した樹脂ペレットベースのもので、今のところ「KamerMaker」プリンターはこの素材を常時、正確に均等に出力できていない。そのため内部のハニカム構造部分も一部で不揃いになったりしている。DUS Architecs 側は、現在はまだ試験段階であり、実際に建築に使用する時にはこれらの問題はすべて解決済みで強度的にも問題ないと説明する。「Macromelt」については、万一、出力に失敗しても簡単に粉砕して再利用できるとしている。

計画では、正面部分の高さ15m、幅6m、奥行き6m、13の部屋を持つ切妻屋根のカナルハウスを建てるとし、最初の部屋は今年の夏ごろをめどに完成させたいとしている。

参照元記事1.
参照元記事2.