2014年3月22日土曜日

番外編:各方面から注目される「3Dカメラ技術」

3Dカメラ技術にはゲームや小売、不動産までカバーする潜在力がいくつも潜んでいる。ベンチャーも大手もこぞって、3Dカメラ技術に熱い視線を送っている。

マウンテンヴュー市に本拠を置く Matterport は 13日、3Dカメラ技術の商用化に向けた第一弾となる3Dカメラ「Matterport Pro 3D Camera」をリリースした。価格は 4,500米ドル。

同社は有料クラウドサービスも提供しており、撮影した2D・3Dデータを同サービスに転送するだけで3次元データに自動変換され、Webブラウザさえあれば3次元空間モデルの閲覧および共有ができる。

Matterport の3Dカメラがハイエンド志向・プロユース向けなのに対し、現在主流なのはスマートフォンやタブレットなどの携帯端末に埋め込むタイプ。たとえば Google が先月に正式発表した「Project Tango」では、内蔵カメラでスキャンしたデータに基づいて3Dマップを同時生成する機能を搭載したプロトタイプ機が開発中だ。また昨年 11月には Apple Inc. がイスラエルのベンチャー PrimeSense Ltd. を買収している。PrimeSense は3D深度センサーおよび3Dカメラの開発で知られる。また、別のイスラエル企業 Mantis Vision は Sumsung および Flextronics から資金提供を受けている。同じく3Dカメラ開発ベンチャー Lynx LaboratoriesDotProduct3D の2社も近日中に彼らの3Dカメラの先行予約を受け付ける予定だという。

「これはまだ第1波。第2、第3の波がやってくる」と述べるのは、Matterport の競合スタートアップのひとつ Paracosm( フロリダ州 )の CEO Amir Rubin 氏。同社は複数のカメラから撮影された2次元画像データから3次元画像を生成するソフトウェアを開発している。同氏は3Dイメージング技術全般について、「まだ揺籃期にある」と評する。2010年に Microsoft が「Kinect」を発売して以来、同技術の市場が本格的に動き始めた。

Matterport にとっては、ハードウェアのカメラ製造よりも今後はソフトウェア開発が重要だという。同社 CEO の Bill Brown 氏は次のように述べている。「自分たちはソフトウェア会社だと考えている。カメラを作ったのも、そもそも自分たちの求めるデバイスがなかったため。そのうち3D撮影機能を持った端末を売りにする企業なんて珍しくなくなる」。

Matterport はシリコンバレーの有名なベンチャーキャピタル「Y Combinator」から投資を受けた成長株で、他にも Lux Capital、Felicis Ventures、Greylock Partners、Qualcomm Ventures、Rothenberg Ventures、Red Swan Ventures および Navitas Capitalからも資金提供を受けている。これらの投資家から提供された資金の総額は現時点で約 1,000万ドルに上る。

「画像の3次元化について、デジタル アルゴリズム化を完成させることに注力してきた。今やっと、写真画像と同等のクオリティを目指せるスタート地点に立ったばかりだ」と、Brown CEO。現在、3次元空間モデル内のオブジェクトをユーザーが自由に操作できるようなアプリケーション開発に取り組んでいるという。これが実現すれば、たとえば新しい家具を購入する際、3次元空間モデル内に収まるかどうかを検討した上で即時購入することも可能になるという。

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