2014年5月5日月曜日

イリノイの高校生が3Dプリント義手を少女に提供

イリノイ州ロックフォード発:イリノイ州ロスコーに住む Kylie Wicker ちゃん(9歳)は、左手の指が欠損した状態で生まれた。

「ふだんはとても前向きだが、最近は落ち込む時もあり、こちらも辛くなる」と、彼女の父親 Jeromy Wicker 氏。従来の筋電タイプの義手は最低でも2万ドル以上はかかり、保険が適用されるのも1度限りのため、彼女の両親は Kylie ちゃんの成長が止まるのを待ってから、本格的な義手装着を考えていた。
だが今年初め、Jeromy 氏は偶然発見した「もうひとつの選択肢」に驚愕した。娘のような他の子供たちはどうしているのかと思ってインターネットで調べると、「義手を3Dプリンターで製作する」話で溢れていた。それは南アフリカの大工が開始したプロジェクト「Robohand」だった。
さっそく Jeromy 氏は娘のために義手を3Dプリントしてくれそうな人と、プリンター探しを始める。その結果、Jeromy 氏は地元のボイラン・カトリック・ハイスクール( Boylan Catholic High School )に Makerbot Replicator があることを突き止めた。彼は同高校にメールで問い合わせ、手頃な価格の義手製作を依頼した。同校の3Dプリンターは、昨年、寄贈されたものだった。

「生徒にこの少女のことを話したら、即座に『ぜひやろう!』って。クラス全員が夢中になった」と、同校で機械製図を教える Bud May 氏は振り返る。
May 氏と彼の生徒 10人は先月末、Wicker 家を訪問し、Kylie ちゃんの左手首を採寸した。ネット上の Robohand コミュニティの説明も参考にして、生徒たちは Replicator で樹脂製の人工指を造形した。完成した義手は、2日に同校で贈呈する。
「こんなに早くできるなんて信じられない」。Kylie ちゃんは今、高校生たちが製作した義手ではじめてできるようになる、私達から見れば極めて簡単な事を考えて興奮を隠せない。「ボールをつかんだり、ジャングルジムに登りたい。自転車にも乗れるわ」。
「製作費用の総額は5ドルもかからない。材料の樹脂が1ドルくらい、留め具が2ドルほど。」と May 氏。この自家製義手は、内部に伸縮性ワイヤが張られて指を伸ばしているが、手首を曲げると指を引っ張り曲げる仕組み。
 製作費用は安上がりだが、その効果は絶大だ。「この義手をもらった娘が今、できることがたくさん頭に浮かぶ」と母親の Sharon 氏。「生徒たちが作ってくれた新しい義手のおかげで、これからは難なくこなせることになるでしょう」。



(「Robohand」関連既報記事1.、. )