2014年7月27日日曜日

3Dプリントで製作されたリチャード3世遺骸のレプリカが公開

英国レスター発:3Dプリンターは、本物に限りなく近いレプリカの造形にも威力を発揮する。世界各地の博物館では、そんな3Dプリント技術に着目して、貴重な収蔵品の精巧なレプリカ製作に応用するケースが増えている。博物館によっては、3Dプリントで製作したレプリカを来館者が直接触れられるといった、従来では考えられなかったサービスも実現させている。26日に開館する「リチャード3世:その王朝、死と発見」と名付けられた新しいビジターセンターも、そんな施設の1つだ。

現地時間7月25日、開館に先立って3Dプリントで製作されたリチャード3世( 在位 1483-5 )の遺骸のレプリカが公開された。同王の遺骸は 2012年8月、現在同ビジターセンターの建つ同じ敷地内で実施された、レスター大学チームの発掘調査で発見された( 当時はレスター市議会の駐車場だった )。15世紀、ここには托鉢修道会のフランシスコ会の修道院( グレイフライアーズ )があり、32歳で戦死したリチャード3世の遺体の埋葬地と伝えられている場所だった。

リチャード3世は今から 529年前、「ボズワースの戦い」で戦死した薔薇戦争時代最後のイングランド王。戦死したイングランド国王としては同王が最後でもある。シェイクスピアの戯曲で悪名高いリチャード3世だが、実際の遺骨は完全な「せむし」ではなく、脊柱側湾症だったことが判明している。

同センター開館にかかった費用は400万GBP 以上。展示には3Dプリントで復元した同王の復顔像をはじめ、リチャード3世の王朝と死が辿れるようになっている。リチャード3世の遺体のレプリカでは遺骨に残る数多くの負傷痕が直接観察できる。臀部をサーベルが貫いたと推定される骨盤の深い傷なども直接見ることができる。

リチャード3世の遺骨は白い樹脂素材で再現された。同センター側では初年度の来館者を 100万人と見込んでいる。ただしリチャード3世の遺骨そのものは展示されず、来年度中にレスター大聖堂内に設けた新たな墓所に再埋葬される予定だ