2014年9月15日月曜日

試作品製作の時間もコストもカットできる「 voxeljet VX1000 」

ドイツ発:産業用3次元積層造型機製造大手 voxeljet は 3D Systems や Stratasys ほど一般の認知度は決して高いとは言えないが、同社が2011年にリリースした VX1000 システムは、樹脂による精密な積層造形だけでなく、ロストワックス等のインベストメント鋳造法の代用となる独自技術も搭載している点が特筆される。

VX1000 はポリメタクリル酸メチル樹脂( PMMA )による3次元積層造形の他に、10,624 個のノズルから超微粒子のシリカサンド( 珪砂 )または樹脂粉末が造形スペースに均一に噴出され、選択的レーザー焼結法( SLS )と同様に、造形スペース内のサンド層に結合剤を吹き付けて固結させることで精密な造形作業が可能だ。シリカサンド層厚は 200µm の標準的なものなので、CADモデルに可能な限り忠実な造形が行え、またシリカサンドは環境にも優しい素材だ。従来の試作機製造工程と比べると工程数を大幅にカットできるので、製作時間も製作に要するコストも一度に削減可能になる。

また、羽根車のような複雑な形状の製品を製造するには、従来のロストワックス法では射出成形機といった高コストのツールが必須だったが、VX1000 ならばまず PMMA 樹脂で羽根車の原形を作り、その上にセラミック層を吹き付け窯に入れて樹脂だけ溶かし、そうやって出来たセラミック型に金属を流し込む、といった応用も可能になる。

シリカサンドによる積層造形が可能な VX1000 システムは、本体も含め全てを導入するには、製造元 voxeljet は8.5x7.5x4.4mのスペース確保を推奨している( VX1000 本体は2.4x2.8x2.0mのスペースが必要 )。

VX1000 本体価格は 1,048,468 USD。主要なスペックは以下の通り。

素材:PMMA、シリカサンド、Polybor B & C 結合剤( 樹脂用 ) / 無機結合剤( シリカサンド用 ) 
色:素材による
最大造形サイズ:1,060x600x500mm
層厚:100/300µm
軸解像度:600dpi
本体寸法:2,400x2,800x2,000mm
本体重量:3,500kg