2014年10月24日金曜日

世界初の3Dプリント踵骨移植術

オーストラリア発:ヴィクトリア州ラザーグレンに住む元建設業 Len Chandler 氏(  71歳 )は今年4月、右足踵に非常に稀な進行性軟骨癌があると診断された。同氏は6月に前立腺癌および膝の手術を受け、しかも作業現場の事故で片目も失っている。

Chandler 氏を診察したメルボルン市のセント ヴィンセンツ病院整形外科医 Peter Choong 教授によると、踵骨の進行性腫瘍の場合、患部除去後に踵骨を再生させるのは困難だとし、この部位の癌患者は膝下から足を切断する場合が多いという。

Choong 教授は、骨および軟組織腫瘍研究の世界的な第一人者として知られている。同教授率いる移植チームは、Chandler 氏に3Dプリントによる踵骨復元手術を勧め、Chandler 氏は7月にこの世界初の事例となる3Dプリント人工踵骨移植を受けた。

同市内に本拠を置くインプラント製造の Anatomics の協力で、Chandler 氏の健康な左足踵骨を CT スキャンし、3次元データ化したものを3Dプリンターに投入して、まず左足踵骨の「鏡像」を樹脂試作モデルとして製作。次いで、オーストラリア連邦科学産業研究機構( CSIRO )が試作モデルに基づき Arcam AB 製最新3Dプリンターを用いてチタン製人工踵骨を製作、そのチタン製インプラントを癌患部除去後に Chandler 氏の右足踵に移植した。

術後の経過は良好で、Chander 氏は松葉杖をついて歩行もできるようになった。「炎症も痛みも何もない。ぴったりフィットしている。最高だ。サッカーボールが蹴られるようになるかはわからないが、歩き回れるようにはなるだろう」。

執刀に当たった Choong教授は、この分野はオーストラリア国内の医療ビジネスにとっては大いなるチャンスだという。「我々には3D移植技術があり、それを実現させるチームもある。この事業をさらに推進するために今必要なのは、連邦政府の支援だ」。

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