2014年11月11日火曜日

目の不自由な人にも名画鑑賞の喜びを

ギリシャ発:3Dプリントは視覚の不自由な人にとってもいろいろな場面で役に立つ。たとえば、立体的な挿絵つきの点字本や、大津波襲来など緊急避難時に使える詳細な立体地図、大事にしている写真の3次元化。

首都アテネを本拠とする3Dベンチャー 3D-EYE は現在、2次元イメージをスキャンして、3Dプリンタブルな3次元モデルを生成する新製品を開発中だ。

同社開発グループは IT 研究者の Harilaos G. Koumaras 博士、ソフトウェア開発者でビジネスアナリストの Vaios Koumaras 氏など、ソフト開発者やプログラマー、IT 技術者から成る混成チーム。彼らは Indiegogo サイト上で開発中の新製品の資金提供を呼びかけており、調達目標額は 150,000 EUR( 募集期間は太平洋時間 12月 16日まで )。同開発チームはプロトタイプを 2016 年半ばまでに試験運用し、同年後半には一般市場向けにリリースしたい考え。

開発中の新製品はクラウドベースのプラットフォームで、2次元画像を3Dプリンタブルな3次元モデルへと変換する。近景と遠景の距離感を高低差に置き換える深度スキャンなどを備える。たとえば、ルネサンス初期イタリア人彫刻家ドナテッロの浅浮き彫り作品「ヘロデ王の饗宴( 1427年頃 ) 」では、近景に彫られているものほど深く、最も遠い背景の彫りは浅めに処理されている。ドナテッロが素材を削って作品を仕上げたのとは違い、3D-EYE は同様のことを素材を「積み重ねて」表現する。独創的だが、これを3Dプリントで表現するのは非常に複雑な作業が要求される。

3D-EYE の目標は、目の不自由な人でも視覚芸術作品を楽しんでもらうことだ。それは目で見る作品を、触れて感じる作品へと変換することで初めて実現できる。同社の Indiegogo 上の資金募集ページでは、たとえば「モナ・リザ」がどのように3Dプリンタブル モデルに変換されるのか、その基本的な流れを見ることができる。

この技術が博物館や美術館に導入され、たとえば、本物とその3次元モデルの模写とが並んで展示されれば、3次元模写は実際に触って体験可能なので、特に若い人に受けるのではないだろうか。

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