2014年11月10日月曜日

誰もが買える3Dプリンターを ―― 若きベトナム人博士の挑戦

米国 / ベトナム発:Le Truong Son 氏はハノイ科学技術大学卒業後、米国アイビーリーグの一角を成すブラウン大学へ留学し、物理学博士号を取得した 32歳の若き研究者。同氏がブラウン大学時代から一貫して取り組んできたのが、「ベトナム人でも買える低価格の3Dプリンターの生産」だ。

Son 氏はブラウン大学在学中の 2011年、同大学の所有する高額な3Dプリンターが頭の中のデザインを現実のカタチに変えてゆく力にたちまち魅了されたという。同氏は翌年 10月、3Dプリンター自作第1号機を完成させた。

同年、第1号機の大量のパーツとともに6年ぶりに帰国した Son 氏は、さっそく同プリンターの大量生産化に向けて数名の製造業者に打診したものの、1台当たりの生産コストが 600-700 USD では高すぎて、大量生産はとても無理だと突っぱねられた。そこで旧友らとともにプリンターのチップの販売を eBay 経由で始めた。

このプリンターチップの販売はすぐ軌道に乗ったが、今度は中国人業者が安価な複製品を売り始めた。「他人がコピー製品を売ることについては気にしていません。インベンターの強みは、彼らより常に先を行っていること。彼らが売れるのは旧式バージョンだけですから」。Son 氏らの事業にネチズンの参加が増えるにつれ、特許申請して他者を除外するのはよくないと考え、オープンソースデザインの方針を取った。

現在、Son 氏は米国ワシントン D.C. 近郊の自宅内に拠点を構え、夢の3Dプリンター作りに打ち込んでいる。現在の試作機は5代目で、特に最新型では、複雑な形状のオブジェクトのプリントも可能にした高性能タイプだという。

Son 氏が参考にしているのは、世界最小の3Dプリンターだ。先に開発した3Dプリンターで開発中のプリンター部品を製造することもあるという。資金提供を名乗り出る人も現れ始めた。

現在、同氏が計画しているのは、今月末までに最終製品をAmazon および eBay サイト上で販売することだ。目指すは、300-500 USD 台で買える高性能3Dプリンターだ。「3Dプリンターはまだまだ伸び代が大きい。低価格機種が開発できれば、米国でもベトナムでも大量生産は可能だと思う。低価格かつ高機能な3Dプリンターなら、一気に一般家庭にも普及が進むはずだ」。

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