2014年12月14日日曜日

ユーザーの、ユーザーによる、ユーザーのための「3Dプリンター購入ガイド」

オランダ発:アムステルダムに本拠を置く 3D Hubs は、世界最大級の3Dプリント紹介サービス ネットワークを提供するスタートアップだ。ユーザーは同サービス上にアップロードした3D CAD データを近くの3Dプリンター所有者にプリントを依頼し、完成品を直接受け取るか配送してもらい、プリントアウトを提供したユーザーはその対価を受け取る。昨年、同社がこのオンラインサービスを立ち上げると瞬く間に急拡大して、今や所属する3Dプリンター所有者総数は全世界で1万人にも上る。

3D Hubs 創業者で CTO の Brian Garret 氏によれば、同サイトに寄せられる利用者の声で最多なのが、「どの3Dプリンターを買えばよいのか?」という質問だった。そこで同社は一方的に市販の3Dプリンターを評価するのではなく、ユーザーに直接評価してもらった「購入ガイド」を作成、公開した。対象製品は一般的なデスクトップ型3Dプリンターで、FDM および STL 方式のもの。1~10 のシンプルな 10 段階評価で、「ハイエンドユーザー向け」から「低予算タイプ」まで5つのカテゴリー別に集計した。各ユーザーの所有する3Dプリンターの性能は、ミニチュアフィギュアの出力能力で評価した。評価総数は 2,279 件。

その結果、上位に入ったのは MakerBot や 3D Systems といった大手ベンダー製品ではなく、一般ユーザーにはあまり知られていないスタートアップの製品が入るという意外なものだった。「大手ベンダー製品のプリント性能には満足していないユーザーが多かった」と Garret 氏。

同購入ガイドでは、カテゴリ別に集計した 18 機種が上位にランクインした。ランキングには、ユーザー評価が 10 以上寄せられた製品のみ掲載されている。

3D Hubs は Garret 氏と現 CEO の Bram de Zwart 氏によって創業した。両氏は共に、3Dプリンターを最初に開発した 3D Systems の元社員。

上位にランクインした3Dプリンターでは、たとえば Kickstarter プロジェクトとして製品化したポーランドの「 Zortrax M200 」は、ユーザーから 8.9 という高評価を獲得している。

同じく 9.0 の高評価を得た「 Makergear M2 」は、2009 年にオハイオ州ビーチウッドで創業したスタートアップ。創業者で CEO の Rick Pollack 氏はソフトウェア出身だが、ある時、MakerBot 製品のエクストルーダーに関するトラブルが多いことに気づき、自宅ガレージで補修部品を小型旋盤で製作していた。

「顧客はエクストルーダーを、MakerBot 純正品から Makergear 製品へと切り替えていったんだ」と Pollack 氏。「1年半後、我々は自社製3Dプリンター生産を始めた」。

Makergear の従業員数は十数人ほど。地元企業数社が「 Makergear M2 」の部品製造を担当し、製品検査は全て社内で行っている。同社製3Dプリンターの引き合いは大変多く、既に納品まで数か月待ちになるほどだ。

デスクトップ3Dプリンター市場は活況を呈している。調査会社 Canalys によれば、2014 年第3四半期に全世界で出荷された3Dプリンターは約 33,000 台で、これは前期比4%の伸びを記録し、3Dプリンターサービス全体の収益は9%増だという。また欧州、中東、アジア市場における3Dプリンターサービスの第2四半期収益は8%の伸びであり、これはドイツや英国といった市場規模の大きい地域で3Dプリンターに対する関心が高まったことが要因として挙げられるという。

また Canalys によれば、第3四半期に出荷された3Dプリンターの 73% が、税抜き販売価格 10,000 USD 未満の価格帯の製品だった。

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