2014年12月21日日曜日

MIT 研究者チームが「4Dプリント」技術を開発中

米国発:マサチューセッツ工科大学( MIT )研究者チームは目下、3Dプリントの進化形として、「4Dプリント技術」を開発中だ。

MIT メディアラボ 博士研究員で同開発チームリーダーの Dan Raviv 氏によれば、開発中の新技術は、3Dプリントで出力後、造形物が自ら「変形」可能になることを目指している。

同開発チームはこの「4Dプリント」を実現させるため、大手3Dプリンターベンダー Stratasys と共同で2つの異なる特性を持つフィラメントを開発した。一方のフィラメントは通常の固い樹脂素材、もう一方は水に浸すと体積が倍になる構造の素材で作られている( こちらのフィラメント組成については現時点では伏せられている )。

Raviv 氏らは、この特殊フィラメントを使用して、38 cm 四方のグリッド状オブジェクトをプリントアウトし、それを水に浸した。すると水分膨張性フィラメントが伸縮して、複雑な凹凸形状を持つ表面構造に変化した。

開発チームは、この「4Dプリント」技術を活用して、将来的には幅広い応用が可能になると期待する。とりわけ医療分野、たとえば心臓ステント移植術への応用が考えられるという。「現在は、生体適合性素材で各部位に適した器官等を3Dプリンターで造形したものを移植しているが、今後は形状と機能変化をインプラント自体が行えるようになるだろう。患者の体内で、一生の使用に耐えられるインプラントを作りたい」と Raviv 氏は述べる。

Raviv 氏の開発チームは、縮小と拡大の両方が可能な4Dプリント技術の開発に取り組む。「外形が数 cm の4Dプリントオブジェクトを数点、製作した。移植術用としては、10-100 倍小さくなるオブジェクト、日常用途としては 10 倍の大きさに拡大するオブジェクトが出力できるようにしたいと考えている」。

ただし、と Raviv 氏は現時点での課題も指摘する。「4Dプリントに使用する素材の品質向上のためには、まだまだ研究が必要になる」。

水分膨張性フィラメントは数十回、浸水・乾燥を繰り返すと可塑性を失ってしまうという。そこで、水以外の要素、たとえば熱や光といった刺激に反応する素材の開発も進めたいとしている。

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