2015年1月21日水曜日

ダブリン大学トリニティカレッジ研究チームが次世代3Dプリント技術を開発中

アイルランド発:ダブリン大学トリニティカレッジ( TCD )工学部 機械 / 製造工学科 准教授 Rocco Lupoi 氏率いる研究開発チームはこのほど、欧州宇宙機関( ESA )から 500,000 EUR もの研究支援金を受け、次世代3Dプリント技術「コールドスプレー( CS )法」を改良し、4年後の実用化を目指している。

コールドスプレーは、金属材料を溶融させず、不活性ガスと共に超音速流で基材に衝突させて皮膜を形成する技術のこと。15 年ほど前から主に金属表面の皮膜コーティングなどに利用されているが、積層造形への応用はコスト面や技術面での課題があり、実用化が進んでいなかった。

Lupoi 教授らチームが取り組んでいるのは、ヘリウムガスを超音速( 2,472 km / h )にまで加速し、そのガスと共に金属微粒子を飛ばして吹きつけ、高速造形するというもの。この方式のメリットは無害なヘリウムガスを使用するため環境に優しく、使用材料の量じたいも減らせるため、省資源生産が可能になる。そして何よりも、従来の積層造形法より 1,000 倍も速いという。使用可能な金属素材にも制限がないため、複合素材からなる金属部品の製造もでき、たとえば従来工法では妥協を余儀なくされていた自動車エンジンパーツの一部についても設計者の意図通りに加工することができるとしている。そして非加熱方式なので、完成品に微細な構造変化やゆがみなどが発生する恐れもない。

この CS 法は、宇宙船に使用する部材開発応用を第一の目標に掲げており、同大学によると、同大学の単一プロジェクトに給付された ESA 支援金としては過去最高額だという。ESA 側からも科学者が派遣されている。

宇宙船開発への応用と同時に、かつてのテフロンのように、日用品への応用も期待される。たとえば、絶対にこびりつかない「究極のフライパン」の商品化などだ。

Lupoi 氏は次のように語る。「 現在、CS 法3Dプリントで金属部品を作った場合、複雑な形状だと 100 万ユーロくらいかかってしまう可能性がある。我々の研究では、技術面での障壁をいかに克服するかに最も力を注いでいる。CS 法3Dプリント技術を次の段階に引き上げ、革新的ソリューション開発を通じてコストダウンを図り、積層造形技術の潜在能力をさらに向上させる」。

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