2015年1月11日日曜日

世界初のマルチヘッド搭載の FDM 3Dプリンター「 MH5 」

ベトナム発:3Dスタートアップの Digitrax 3D は、同一製品を同時に5つプリント可能な初の FDM 3Dプリンター「 MH5 」を開発中だ。

同社は Frédéric Lefevre 氏と、元 YAMAHA Music France の音響技師で製品マネージャーだった Philippe Maurel 氏が設立した。「 MH5 」は、同一製品を短時間でプリントする方法を探していた友人を助けるために開発した。同プリンターに装備された5つのエクストルーダーはプリントに使用する本数、ヘッド位置および温度を個別に調節可能。2人はこのマルチヘッド3Dプリンターを開発するため、ホーチミン市中を探して有能な3Dプリントのスペシャリストを数名、開発チームに引き入れた。

ただし「 MH5 」では同一製品を5つプリントできるが、異なる形状の製品を同時にプリントすることはできない。また、使用するエクストルーダー本数が増えれば、それだけ最大造形サイズも縮小する。とはいえ廉価な PLA フィラメントを使用する FDM 型プリンターの高速化は光硬化樹脂( SLA )よりトータルコストを抑えることができ、同社はこうしたニーズの顧客層に絞ってこの3Dプリンターを開発している。

市販されている FDM 方式3Dプリンターでは、高さ 8cmのポットのプリントアウトに1時間4分ほどかかるが、「 MH5 」を使用すれば、同型ポット 15 個3時間 21 分で プリントアウトできるとしている。ポット1個当たりわずか 13 分ほどでプリントできることになる。

「 MH5 」の主要な仕様:

本体材質:アルミニウム( A6063-T5 )
解像度:100 μm
フィラメント径:ϕ=1.75 mm 
フィラメント:PLA for MH5、PLA、ABS for HD Version 5.1
本体寸法:77 x 57 x 55 cm
最大造形サイズ:28 x 28 x 20 ( 15,680 cm³ )
本体重量:40 kg 
接続方式:USB、micro SD
標準ノズル径:ϕ=0.4 mm、それ以外の径は受注生産



2015年、3Dプリント業界には高速化、低価格化、信頼性、マルチ素材対応といった様々な課題の克服が求められ、同時に法的問題点などの解決も突きつけられている。昨年2月に特許が切れたレーザー焼結法( SLS )方式のハイエンド3Dプリンター価格も、このまま下落傾向が続けば、HP、Stratasys、3D Systems といった業界大手に対抗するスタートアップ各社は新たなイノベーションを引き起こすべくさらなる奮起が求められるだろう。ただし SLS 方式はプリントアウト後の余剰粉末の除去などの面倒なメンテナンス作業も多い。産業、個人メイカー問わず、人々が求めているのは、より高速で低価格の新しい3Dプリンターだ。 

参照元記事