2015年1月31日土曜日

欧州宇宙機関も ISS に3Dプリンター導入へ

イタリア / フランス発:欧州宇宙機関( ESA )は、無重力下でも動作可能な「 Portable On-Board 3D Printer( POP3D ) 」と名付けた小型3Dプリンターを6月中にも国際宇宙ステーション( ISS )に搭載する。

同3Dプリンターはイタリア製で、フランスの Altran が設計と製造を請け負っている。「 POP3D 」は ISS 到着後、イタリア人宇宙飛行士 Samantha Cristoforetti 氏の「 Futura( ラテン語で「未来」)ミッション」の実験の一環として使用される予定。Cristoforetti 氏は昨年 11 月 23 日、他の5人のクルーと共に既に ISS に到着しており、半年間の予定で活動する。

「 POP3D 」はその名の通りコンパクト設計が特徴で、25 cm 四方のキューブ型。最小限の電源で動作し、極力少ない操作手順で作業可能な仕様となっている。ISS の船内環境に影響を与えないようにするため、「 POP3D 」は FDM ベースの、生分解性の無害なサーモプラスチックを使用する3Dプリンターだという。同プリンターのコンセプトは昨年 10 月、欧州各国から 350 名以上の専門家が集まった会議で初めて公表された。

ISS への3Dプリンター導入は、米国カリフォルニア州に本拠を置く Made In Space が NASA の実験計画の一環として既に実現している。この「宇宙空間第1号」3Dプリンターは当初計画されていた部品の出力試験を行い、また地上から「転送」された設計データを基にソケットレンチの出力にも成功している。2台目となる ESA の「 POP3D 」も初代機と同じく、無重力空間でプリントアウトした製品は地上に帰還させて地上で3Dプリントされた同等製品と比較され、宇宙空間でも地上と同様に3Dプリント製品が機能するかどうかが検討される。

3Dプリント技術は、打ち上げ時の衝撃に耐えられそうにない精密器具等を宇宙空間で作れるといった利点がある、と Altran の担当者は述べている。またこの技術は予備部品を届けるための打ち上げ回数や、宇宙船および宇宙ステーションの構造部材の点数自体を抑えることにつながり、結果的に打ち上げにかかる総コストの削減も可能になるかもしれない。

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