2015年1月19日月曜日

テストレポート:高精細プリント可能なデスクトップ3Dプリンター「 LulzBot Mini 」

3Dプリンターをテストする時、最も重視するのは「正確にプリントアウトできること」だ。先週、ラスベガスで開催された「 International CES 2015 」に出品された、コロラド州ラヴランドに本拠を置く Aleph Objects, Inc. の新製品「 LulzBot Mini 」は、この最重要項目の性能が特に優れている。

「 LulzBot Mini 」は筐体寸法 が 43 x 34 x 38 cmほどと小型で場所を取らず、しかも 8.6 kg と軽量で、梱包箱からの取り出しも容易。ちなみに台湾製オールインワン3Dプリンター「 da Vinci 1.0 AiO 」の本体重量は 27.5 kg もあり、梱包箱から引っ張りだした時に腰を痛めるところだった。小型なので、当然最大造形サイズも限られる( 15.24 x 15.24 x 15.8 cm )。

筐体はいわゆる RepRap タイプの開放型で、「 da Vinci 1.0 AiO 」のようなフルカバータイプではないし、フィラメントも裸のスプールのままフックに引っ掛けるだけ、市販のオープンリール型フィラメントならばどれでも使用可能だ(「 da Vinci 1.0 AiO 」は ABS / PLA 専用カートリッジ方式 )。RepRap ベースなので筐体の一部も3Dプリント製で、同梱されている CAD ソフトウェアもオープンソースの「 Cura 」だ。

造りはシンプルながら、たとえば加熱式造形ベッド( ホウケイ酸ガラス )表面はポリエーテルイミド( PEI )皮膜処理されているから、プリント中は3Dオブジェクトをしっかり基板面に固着させ、プリント終了後は簡単に製品を剥がして取り出せる。今まで様々な FDM 型機種をテストしてきたが、完成品取り出しが最も楽だったのは、この「 LulzBot Mini 」だけだ。


セットアップも簡単だ。数点の発泡スチロール保護材を取り除いたら、フィラメントスプールを引っ掛けてプリントヘッドへ装填し、「 Cura 」をダウンロードした PC に USB ケーブルを接続すれば即プリント可能で、15 分ほどで完了する。

肝心の造形精度だが、FDM 方式3Dプリンターが最も苦手とするらしいのが、エッフェル塔のような非常に細かい格子模様状のオブジェクトだ。だから、この「 LulzBot Mini 」がエッフェル塔の細部に至るまで忠実に出力する性能にはたまげた。しかも速い。高さ 12.7 cm のエッフェル塔のプリント時間は、他社製品では約2時間はかかっていたが、「 LulzBot Mini 」は1時間 44 分で完成した。

あいにくいくつか欠点もある。まず保護カバーで覆われていないため、プリント中の騒音は相当なものだ。そしてこの「 LulzBot Mini 」にはストレージ機能が搭載されていない。デスクトップ型3Dプリンターはフラッシュメモリー対応機種が多く、PC との接続を切断してもそのまま転送した3D CAD データをプリントし続けられる。だが「 LulzBot Mini 」の場合、作業途中で PC との接続が断たれるとそのプリントジョブはキャンセルされてしまう。Wi-Fi などのワイヤレス接続機能もない。

また本体には LED ディスプレイなどの表示機能もないから、多くのミッドレンジ デスクトップ3Dプリンターのようにディスプレイ上で操作することも望めない。温度調節やフィラメントのロード / アンロードといった機能は、全て接続した PC の「 Cura 」経由で行うことになる。

「 LulzBot Mini 」は今月 22 日に発売される。販売価格 1,350 USD というのは安くはない買い物だが、MakerBot や 3D Systems など、大手ベンダー製同価格帯機種と比較しても決して割高とは言えない。むしろ、ほぼ全てのフィラメント素材が扱えるコンシューマー向け製品という点ではお買い得かもしれない。ABS、PLA、HIPS、PVA、PETT、PETG、PCTPE、PC-ABS、ポリエステル、ブロンズ、銅、木質フィラメント、ナイロン、導電性 PLA / ABS、ポリカーボネイト、紫外線発光性フィラメントまで使用可能だ( 今回のテストでは、HIPS と ABS を使用した )。

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