2015年2月28日土曜日

世界初の3Dプリント ジェットエンジンがお目見え

オーストラリア発:ビクトリア州メルボルン市のモナシュ大学の研究者チームおよび同大学が設立したスタートアップ Amaero Engineering は現地時間2月 26 日、世界で初めて3Dプリント技術を用いて小型ジェットエンジン2基を製作したと発表した。

今回製作された3Dプリント ジェットエンジンのうち1基は、同州アバロン空港で開催中の国際航空ショー( Australian International Air Show and Aerospace & Defence Exposition )展示会場にて一般公開されている。


研究者チームによると、これら2基のジェットエンジンは概念実証段階であり、「ダッソー ファルコン 20」のような小型ビジネスジェット機等に使用された補助動力装置のレプリカとして製作したとしているが、切削や鋳造工程を要する従来のプロセスでは数か月がかりだったエンジン製造も、3Dプリントなら数日で試験用部品が仕上げられることを実証したという。


2基のジェットエンジン製作に使用されたのは、 独 Concept LaserX-Line 1000R 」。選択レーザー焼結( SLS )方式の産業用3Dプリンターで、Amaero によれば同方式機種では世界最大級だという。「 X-Line 1000R 」は最大造形サイズ 630 x 400 x 500 mm、層厚 30-200 µm で、本体総重量は 8,000 kg。対応素材( 粉体 )はアルミニウム、チタン、ニッケル合金で、1KW のファイバーレーザーで焼結する。



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2015年2月24日火曜日

PING が世界初の3Dプリント製パターを開発

米国発:パッティング時の、いわゆる「アンカリング」を来年以降の競技から禁止する全米ゴルフ協会( USGA )の規則改定( 規則14-1b )を受け、ゴルフ用品製造の老舗 PING はこのほど、業界初となる3D CAD デザイン / 3Dプリントのパターを新開発した。

同社技術部長 Paul Eood 氏は、自宅の MakerBot で自ら3Dプリントを行うメイカーでもあり、材料工学博士でもある。USGA の規則改定を受け、パター開発に当たった同氏は、3Dプリント技術ならこの問題を解決可能だと考えた。従来工法ではどうしても接合部が弱点になりがちだったが、3Dプリントならそのようなデメリットも解消され、より正確なパッティング コントロールが期待できるという。

同社が最初に3Dプリント設計のクラブに取り組んだのは、ロングドライブ用 G25 アイアンだった。しかし実際にテストした結果、従来の鋳造製法の G25 ドライバーと3Dプリント製品とでは差が出なかった。

次に同社がテストしたのがパターで、こちらは予想外の好結果が得られた。とはいえ同社は3Dプリントパターの量産計画はなく、3Dプリントパターは最適なカスタマイズ製品を模索するための体験用として限られた顧客のみに提供する。ゆくゆくはインターネット経由でカスタマイズサービスを展開する計画だが、当面は3Dデザイン /3Dプリント工程のさらなる研究開発を進めるとしている。

Wood 氏は、この3Dプリントパターの販売価格が 7,700-9,200 USD の間になるだろうと見積もっている。同氏が指摘するように、3Dプリントパターはまだ新しい技術であり、そのため価格も高くついてしまうが、3Dプリントによる量産化技術開発が進むにつれて製品価格も下落し、いずれは3Dプリント製ゴルフクラブがさらに手に入りやすくなるはずだ。現在、3Dプリントパターを製造する金属粉末焼結式3Dプリンターの導入費用は約 100 万ドルで、Wood 氏によれば、この工法によるゴルフクラブ製造が普及するまでには5-10 年はかかると見込んでいる。現時点では、パターヘッドの製造だけで 24 時間を要しているが、これもさらなる高速化により短縮されるだろうと同氏は見る( ただし、3Dプリント技術はシャフト製造には不向きかもしれないとも指摘する )。ゴルフクラブは通常工法による製造でも完成まで最低6週間はかかるという。


2015年2月23日月曜日

G-code 情報を視覚化する Android アプリ「 GCodeInfo 」

ドイツ発: マインツ市に住む Mathias Dietz 氏は、昼は IBM の ソフトウェア定義ストレージ「 Spectrum Scale 」プロジェクトでソフト開発に従事するエンジニア。帰宅後は3Dプリンターを動かし、3Dプリント技術をさらに簡単に、効率良く扱えるようにするためのコード書きをして過ごしている。

そんな Dietz 氏だが、3Dプリントのスライス工程でのトラブルには悩まされてきた。skeinforgeslic3r といった既存スライサーツールの素晴らしさは賞賛しつつも、スライス後の3Dデータチェックをもっと手早く行えないものか、その方法を探してきた。だが、既存ツールではG-code 情報すら満足に提供するものはなかった。

「そこで、GCodeInfo を書こうと思いついた。アプリを作成することで、使用材料やコスト、プリント速度最適化といった情報が分かるようになると考えたからだ」。

Dietz 氏はこの Android 端末用アプリ「 GCodeInfo 」に留まらず、これをベースにG-code を視覚化して3Dプリントのシミュレートが行える「 GcodeSimulator 」も開発した。「驚いたことに、G-code の視覚化は簡単だった。重要な必須情報はすでに GCodeInfo が提供してくれていたからだった」。

「 GCodeInfo 」最新版[ 現時点では ver. 1.09 ]では3Dプリントモデルファイルを解析し、プリント時間や単価などの情報が表示される。また、プリントアウトに必要なフィラメント長、レイヤー高および必要なレイヤー数、レイヤー間のプリント速度の差によるプリント時間なども教えてくれる。

「 GCodeInfo 」は Google Play ストア上で無料配布されている。対応プラットフォーム要件は Android 4.0.3 以上。

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2015年2月22日日曜日

3Dスキャン&3Dプリントでミケランジェロの傑作を忠実に再現! 

米国 / イタリア発:カリフォルニア州オークランドに本拠を置く Studio FATHOM は同州のブロンズ鋳造 Artworks Foundry および3Dスキャニングを専門とする Scansite と共同で、ミケランジェロの傑作彫刻群を精巧な3Dプリント 縮小レプリカとして再現するプロジェクトに取り組んでいる。

このプロジェクトはミケランジェロ作品の複製製造を認可されている美術品保護組織 Renaissance Masters, LLC の依頼により進められており、有名な「ピエタ」をはじめ 28 のミケランジェロ彫刻群を、Marinelli Pontifical Foundry によって 20 世紀前半に製作されたレプリカから忠実に再現するという試み。Scansite 技術者が最新の3Dスキャン機器で全身の「型」を取って3D点群( ポイントクラウド、PCL )データに変換した後、その STL ファイルを使用して Studio FATHOM が3Dプリント化する。今度はその3Dプリントアウトをベースに Artworks Foundry が伝統的な「ロストワックス法」でブロンズ鋳造して複製を製作するという流れ。

Studio FATHOM の代表 Rich Stump 氏は次のように述べる。「本プロジェクトの非常にユニークな点は、3Dスキャンと3Dプリントという技術を、1千年以上もの間変化することなく続いてきた業界において実用化したということにある」。

2015年2月21日土曜日

3Dプリント DIY ノートPC「 Pi-Top 」リメイク作業が進行中

英国発:3Dプリンタブル DIY ノートPC 組立キット「 Pi-Top 」開発チームは目下、機能面とデザインを大幅にリメイクした3代目の開発に取り組んでいる。

「 Pi-Top 」は Ryan Dunwoody、Jesse Lozano 氏ら英国各地の大学の現役学生によって設立されたスタートアップで、Raspberry Pi Model B+ベースで稼働し、廉価な材料のみで自作可能なノートPC の DIY を初めて実現させた。昨年暮れの Indiegogo 上の資金調達キャンペーンは目標額を上回る 173,676 USD を集めて話題になった。先代モデルも初代に比べれば筐体のスリム化が図られているが、開発中の最新モデルではさらに 30 % 薄型化されているという。これは市販キットに同梱される成形樹脂筐体ではなく、自ら3Dプリントで製作することを考えているユーザーにとってはプリント時間短縮につながる。

2番目の大きな改良はクリック機能内蔵大型タッチパッドの採用で、しかもクリックボタンを3Dプリンタブル筐体との一体式に変更した点だ。一般的なノートPC では薄いプラスチック板を筐体に後から取り付けるのに対し、筐体一体式ではクリック反応が一段と向上するという。

3つ目の変更点は、ユーザー自身のオリジナル プリント基板を追加できるようにガイドレール付きとしたことだ。オリジナル基板を作成したいユーザーは基板サイズおよび通信方式について、 Pi-Top のオープンソースデザイン仕様に準規する必要がある。

最新の「 Pi-Top 」DIY キットは5月以降、一般販売される予定。販売価格は Raspberry Pi 基板付きモデルが 299 USD、基板なしモデルが 264.99 USD。

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2015年2月16日月曜日

世界初、省スペース&軽量オールインワン小型3Dプリンター「 Blacksmith Genesis 」

シンガポール / 米国発:南洋理工大学( NTU )学生2名が起業した Blacksmith Group は現地時間2月 14 日、カリフォルニア州サンノゼ市で開催中の米国科学振興協会( AAAS )年次カンファレンスにおいて、スキャナー一体式オールインワン小型3Dプリンター「 Blacksmith Genesis 」を発表した。

3Dプリンター最大の特徴は、特許出願中のロータリー機構を採用した造形ベッドにある。このためガントリー方式で作動する従来機種と比べ、最大造形サイズの割に設置場所を取らないという利点がある。2インチ LCD パネル、Wi-Fi、遠隔操作用カメラ、そして3Dスキャナーとオールインワンモデルでありながら、本体重量も 6kg と軽量化を図っている。ラインレーザーと500 万画素スキャニングカメラによるスキャン時間は従来製品の2倍の6分ほどで完了するという。またプリンター内部カメラにより、スマートフォン経由でどこからでもプリンターに指示を出してプリントしたり、ブリント作業を監視したりすることも可能。自動エラー検出機能も内蔵している。

 Blacksmith Genesis 」は Indiegogo 上で目標額を上回る 80,540 USD の資金を獲得した。来月には出資者限定の特典付き先行販売が開始されるが、米国や日本を含む70か国への配送手数料は無料となっている。それ以外の通常先行予約販売では、PLA フィラメント1スプール付き( フィラメント色は選択可能 )本体価格 2,200 USD、配送手数料は一律 150 USD で、出荷開始時期は6月以降としている。

Blacksmith Group が生まれた NTU は、創立 50 年以内の若い大学では世界第2位にランクインされている。同社はインタラクティブ デジタル メディア研究開発プログラムオフィス( IDM )のスタートアップ支援プログラム「 i.JAM 」と、シンガポール首相府機関のシンガポール国立研究財団の出資で創業した。同社の技術顧問を務める NTU 教授 Chua Chee Kai 氏は、3Dプリント研究の世界的な第一人者と評されている。

Kai 氏は次のように語っている。「低価格帯3Dプリンターが手に入れやすくなってはいるが、依然として操作の敷居は高い。今、3Dプリンター市場に欠けているのは、手頃で高性能、簡単操作の3Dプリンターだ。Blacksmith Genesis はその市場の隙間を埋めるものだ」。

創業者の1人で CEO の Fang Kok Boon 氏はこう述べる。「Blacksmith Genesis は、一般的なホビイストを念頭に置いて製品設計した。現在、流通している3Dプリンターのほとんどがユーザーフレンドリーとは言えず、ゼロから3Dオブジェクトを作らなければならなかった。Blacksmith Genesis なら、専用3Dプリントソフト Blacksmith Sorcerer でスキャン、コピー、プリントが簡単に行える」。

Blacksmith Genesis 主な仕様

3Dプリント:FDM、ロータリー プラットフォーム
最大造形サイズ:6,648 cm³ φ=23 cm、H=16 cm )
層間解像度:50-200 μm
フィラメント:PLA、φ=1.75 mm 
ノズル径:0.4 mm
プリントファイル:.STL, .OBJ

スキャン技術:複数ラインレーザー測距
スキャン可能容積:5,542 cm³ φ=21 cm、H=16 cm )
スキャン速度:約6分
カメラ:500 万画素 CMOS イメージセンサー
ファイル形式:.STL、.OBJ

本体外形:35 (L) x 25 (W) x 41 (H) cm 
本体重量:6kg

バンドルソフトウェア:Blacksmith Sorcerer
対応ファイル形式:.STL、.OBJ、.BS

対応OS:Windows、Mac OSX、Linux
電源仕様:100-240 V, 50-60 Hz, 100 W

接続方式:USB、SD Card、Wi-Fi 



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2015年2月15日日曜日

高速積層造形+3軸 CNC ハイブリッド工作機「 SonicLayer 4000 」

米国オハイオ州発:州都コロンバス市に本拠を置く Fabrisonic LLC は 2011 年、同州の 501c(3) 法人 EWI とミシガン州に本拠を置く Solidica Inc. とが合弁した産業用ハイエンド積層造形機械ベンダー。同社が 2013 年6月にリリースした「 SonicLayer 4000 」は超音波圧接法( UAM )と3軸 CNC フライス盤とを統合したハイブリッド工作機械で、複雑な内部構造の金属部品も電気回路ごと一体的に造形できるのが特徴だ。

UAM は 1960 年代に開発された超音波圧着法を積層造形に応用した技術で、薄いテープ状の金属素材を2万ヘルツの超高周波で圧着して造形する。造形可能材料は銅、ステンレス鋼、アルミ鋼、チタン。異なる金属材同士を、それぞれの金属特性に影響を与えずに成形できる。同時に不要部分を切削しながら積層加工を実行するので、素材ロスも最小限に抑えることができる。同社では工程の効率化、省コスト化に貢献し、また同一機械内で全工程を処理するため許容誤差もゼロに近いのも利点だとしている。

「 SonicLayer® 4000 」の主な仕様

設置容積:X方向 12'、Y方向 12'、H 113" 
軸制御:X ~ 40"、Y ~40"、Z ~ 24" 
垂直精度:位置決め ±0.0002”、併行精度 0.0001” 
造形台サイズ:44” x 24”  
圧着装置:US 9 kW、圧着力 2500 lb, 最高圧着速度 200 i / min. 
CNC スピンドル回転数:8000 RPM 
CAM ソフト:SonicCAM



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2015年2月14日土曜日

数クリックで簡単に3Dモデルをカスタマイズ、プリント可能にする「 Kwambio 」

米国 / ウクライナ発:Volodymyr Usov 氏は 2013年、キエフ市内で開催されたテクノロジーカンファレンス「 IDCEE 2013 」会場で、初めて3Dプリンターに触れた。その時、3Dプリンターが人類に対してもたらす可能性は理解したものの、実際に一般ユーザーがゼロから3Dオブジェクトをプリントアウトするのは依然として敷居が高すぎることも痛感した。

そこで同氏は、誰もが容易に3Dプリントできるオンライン プラットフォームを提供すべく、Kwambio をニューヨーク市で起業した。

Kwambio では Apple のアプリストア「 App Store 」と同様の事前審査を実施し、通過したプロのデザイナーのみ3Dモデルデータを公開できる。利用者は数回のクリック操作で3Dモデルの形状や色を好みにカスタマイズし、あとは各自の3Dプリンターに転送するだけ。利用者が購入した金額の7割がデザイナーに支払われ、残りは Kwambio 側の手数料となる。現在はベータテスト版で、2014 年末時点で約 200 件のデザイナーズモデルが登録されている。利用者数は 1,500 人ほどで、その内訳は米国、英国、フランス、ロシア、ウクライナとなっており、うち 42% を米国利用者が占めている。ちなみにウクライナ国内の3Dプリンター所有者数は、わずか 30 人ほどだと言われている。

Kwambio は昨年 10 月に開催された IDCEE スタートアップコンペティションで優勝し、賞金 17,000 EUR を獲得した。また、オデッサの投資家からも多額の投資を受けている。

Usov 氏は次のように述べている。「世界に同じ人間は1人としていない。作品もそうであるべきだ。弊社プラットフォームの最大の利点は簡単にカスタマイズでき、便利なことにある。次いで、必要な3Dモデルデザインを安心して提供できること。海賊版を作成される恐れがあるため、プロデザイナーはあまり3Dモデルデータを公開したがらないが、Kwambio ではセキュリティが担保されているという強みがある」。

現在、Usov 氏ら開発チームは4月にニューヨーク市内で開催予定の3Dプリント展示会でのプレゼンテーションの準備中で、その後、Kwambio サービスを正式公開する予定だ。

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2015年2月10日火曜日

B.C. の3Dプリント関連企業5社

カナダ発:3Dプリンターの低価格化と関連アプリケーションの拡充が進行中の今、世界中の起業家、ホビイスト、アーティスト、そして一般消費者も3Dプリンティングに強く惹きつけられ始めている。

バンクーバー市にあるカナダ西海岸最大級のメイカースペース MakerLabs の共同設立者 Derek Gaw 氏は言う。「起業家からアーティストまで、様々なメイカー達がとてつもない製品を作っている。3Dプリントの持つ可能性に気付いた彼らの顔の輝きを見るだけで、もう満足だ」

以下、ブリティッシュコロンビア州で3Dプリントサービスを提供する個人と企業を5つ紹介する。

Corbel 3D は「自分撮り」3Dフィギュア出力サービスから、映画製作者、視覚効果プロデューサー、エンジニア、不動産業者、ビデオゲーム開発者、歯科医、外科医、建築家といったプロユース対応品質の3次元スキャニングと3Dプリントも請け負う。同社はバンクーバー市で創業したが、特殊効果産業への3Dプリントビジネスを展開すべく、昨年5月に本拠を内陸のエドモントン市に移転した。

同社の個人向け3次元スキャニングサービスでは、128 台のデジタルカメラで全周撮影した被写体画像をつないだ3次元データを基にミニフィギュアを3Dプリントする。フィギュアはポリマー樹脂製で、撮影後1週間ほどで完成する。5インチ( 12.7 cm )モデル1体の価格は 250 CAD、6インチモデルは 340 CAD。

Aspect Biosystems Ltd. はブリティッシュ コロンビア大学でコンピューター工学を教える Konrad Walus 氏と同大学の研究施設に所属する細胞生物学者 Sam Wadsworth 氏などの混成チームからなるバイオプリント会社で、2013 年 11 月に設立された。従来方式による新薬開発には巨額の開発費用とリスクが付き物だったが、同社はこの問題を3Dバイオプリントによって解決しようとしている。

同社 CEO Walus 氏は8年ほど前からバイオプリンティング研究に取り組んできた。現在、同社には3名のエンジニアと2名の生物学者が所属している。目下、Walus 氏らのチームは、肺線維症患者に検査薬を確実に投下可能な人工気道組織3Dバイオプリントに従事している。将来は移植可能な人工臓器の3Dバイオプリント技術を開発したいとしている。

Wiivv Wearables Inc. は5年前、Louis-Victor Jadavji 氏がバーナビー市で開かれた競技会場で走り高跳びの最中に着想された。膝関節を脱臼した Jadavji 氏は矯正器具を特注したが、「慣れるのにかなりの苦痛を伴った。こんなので本当に良くなるのか、今考えても非常に非科学的だった」。

それ以来、同氏はオーダーメイド インソールの価格をもっと下げられないか模索してきた。自動車部品の3Dプリント体験を経て、この新しい技術こそ、求めていた答えになるかもしれないと考えた。

昨年7月、友人の Shamil Hargovan と共に、バンクーバー市で Wiivv を起業、次世代型オーダーメイド矯正器具の開発と販売を目指した。来月から、同社は3Dスキャンと3Dプリントによるオーダーメイド インソールの製造と販売を開始する。顧客はスマートフォンの専用アプリを使用して自身の足のサイズを計測し、それを同社サイト上のカスタマイズ エンジンに送信、そのデータを基に
3Dプリントする仕組み。インソールは医療用ナイロン製で、販売予定価格は 99-175 USD 。最安価製品は従来製品の 800 分の1の出費で入手できる。

また同社は矯正器具にバイオセンサーを追加し、歩幅や消費カロリーといった記録も残せるように改良する予定だという。

ビクトリア大学機械工学科教授 Nick Dechev 氏は、手の切断手術を受けた中南米諸国の人々のための3Dプリント義手の開発に従事している。

同氏が義手の設計を始めたのはトロント大学修士課程在籍中の 1999 年だったが、当時は高額だったため、その後 15 年間、保管されたままだった。そこへ登場したのが、3Dプリントという白馬の騎士だった。

3Dプリンター価格の急激な低価格化が始まった5年前、Dechev 氏は自分の開発した義手がついに日の目を見ることを確信した。

Dechev 氏と数名の学生達は、低賃金国の貧困層の健康向上を目指す連邦政府出資の団体から資金援助を得て、義手の3Dプリント化に着手。従来方式では製作費用が 10,000-18,000 CAD もかかっていたのと比べ、こちらは 200 CAD ほどしかかからない。

グァテマラやアフリカの一部、東南アジアでは戦争や糖尿病といった理由で手足を失う確率が依然高い。同氏は言う。「そういう事態に陥ると、たちまち社会の最下層へと落ち込む。これはあまりにもむごいことだ。グァテマラでは中間層でさえ人工装具を買うことができない」。

「 Victoria Hand 」と名付けられた同氏開発の3Dプリント義手は 49 のパーツおよび鉄ピン、ネジ、バネから構成され、プリント完成まで 20 時間、組み立てには3-4時間を要する。「 Victoria Hand 」はデリケートな動作にも対応し、刃物類、鉛筆、歯ブラシ、靴紐なども楽に扱えるという。「指は閉じることもできるし、完全ではないがそれぞれの指を動かすこともできるので、様々な形状の品物もつかむことができる」。Dechev 氏は、10 月にも現地で実地試験に臨みたいとしている。

Eugene Suyu 氏は 2010 年、サイモンフレーザー大学在学中に3Dプリントに夢中になった。そして、世界中の家庭と教育機関には手頃な価格のデスクトップ型3Dプリンターが必要になると感じた。同氏と3人の友人がバンクーバー市で起業した Tinkerine.com の最新作が、「 DittoPro 」だ。昨年5月にリリースされたこの3Dプリンターは同社の第3世代機種で、販売価格は 1,999 CAD。環境にやさしい PLA フィラメントを採用している。

「 DittoPro 」はオンラインマガジン「 Make: 」サイト上で、「美しいデザインと性能がマッチした3Dプリンターで、廉価機種ながら、上位のベスト3Dプリンター数機種に匹敵するスコアをマークしている」と評価された。ユーザーフレンドリーでインテリアにもなる3Dプリンター作りを目指す同社はまた、3Dプリント教育にも力を入れている。

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2015年2月9日月曜日

カスタマイズ自在の3Dプリント ブレスレット「 Ontic Eidos 」

イタリア発:ミラノ市に本拠を置くスタートアップ Ontic Design はこのほど、3Dプリント ジュエリーの第一弾「 Eidos 」シリーズの取り扱いを開始したと発表した。

「 Eidos 」はモジュール型の女性向けブレスレットシリーズで、ダークナイロン、銀、金メッキ真鍮の組み合わせから選べ、 中心にはオリジナルデザインのアイコンを配することができる。アイコン用アートワークは同社 Web サイト上に公開されており、ブレスレット本体との接続はマグネット方式。現時点では完成品の出荷は欧州の顧客に限定されている。


Ontic は欧州で事業展開する3Dプリントサービス数社と提携し、最適な加工技術と素材を提供している。3Dプリントを始めとする最新デジタル技術とイタリアの伝統的なクラフトマンシップとを融合させたジュエリー製作を手がける。

同社は共同創業者の Erica Tacconi、Nathan Gray 両氏によって昨年、ミラノ市内のアパートの一室で設立された。ジュエリー好きの Tacconi 氏と、テクノロジー好きの Gray 氏というカップリングは、自然とデジタルアートとモダンジュエリー デザインの結合という形になった。同社はプログラマー、デザイナー、開発者、ハッカーと緊密に連携し、見た目も美しいアイコン製作用双方向型デザインツールを独自に構築している。

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2015年2月8日日曜日

シンガポールの学生チームが作った3Dプリント ソーラーカー「 NV8 」

シンガポール発:南洋理工大学( NTU )の学生チームはこのほど、世界初の3Dプリント ソーラーカー「 NV8 」を開発した。「 NV8 」は今月 26 日から4日間に渡り開催されるエコカーレース「 Shell Eco-marathon Asia 2015 」の都市コンセプトカー部門にもエントリーしている。

「 NV8 」はカーボンファイバー製モノコック シャシー上に、3Dプリントで製作したキャビン部が乗っている。キャビン部は軽量プラスチック製で、最大限のスペースを確保している。

開発チームリーダーの Ilmi Bin Abdul Wahab 氏は次のように述べている。「軽量プラスチックの3Dプリント キャビンを作ったのは、内部空間を目一杯取りたかったのと、総重量をできる限り軽くするためだった。出場するのは都市コンセプトカー部門だが、エネルギー消費は低く抑えつつ、最高時速 60 km を達成した」。

また、別の NTU 学生チームは3輪レーシングカー「 NV9 」も開発した。「 NV9 」は2輪車のようなティルト機構を搭載し、あまり速度を落とさずにコーナリングを可能にしたレース専用車となっている。

「 NV8 」開発チームは当初、スーパーカー型コンセプトカーを製作するつもりだったが、垂直方向に開閉するドアを持つミニソーラーカー製作に転じた。同開発チームによれば、学内の3Dプリンターを総動員し、多種素材を用いて行った組み立て工程が大変で、3Dプリント キャビンの製作だけで3か月かかったという。キャビン部に使用した部品は 150 点に上り、学生チームは同大他学部や Stratasys、Creatz3D といった協賛企業、およびシンガポール-MIT リサーチテクノロジーセンター( SMART )といった機関から助言を受けて完成させた。

両車両とも、低エネルギー消費を最大の目標に掲げて開発されている。そのため学生達は車体面に沿って柔軟に曲げられるシリコンソーラーセルといった最新技術を活用し、太陽光エネルギーを最大限取り込めるよう工夫を凝らしている。

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2015年2月7日土曜日

子供たちの安全を再優先に考えた新型3Dプリンター「 BS Toy 」

ドイツ・ニュルンベルク発:FDM 方式の3Dプリンターはエクストルーダーノズル付近が 200 °C を超えるような高温になり、またプリンター内部には高速稼働する機構もあるため、ユーザーが子供の場合、取り扱いは特に細心の注意が必要になる。

ニュルンベルクでこのほど開催された国際玩具見本市「 Spielwarenmesse ( 会期:2015 年1月 27 日-2月1日 )」で、日本の3Dプリンターベンダー BONSAI LAB, Inc. は子供でも安全に取り扱える3Dプリンター「 BS Toy 」を発表した。

東京都港区南麻布に本拠を置く Bonsai Lab は 2013 年 12 月に設立された3Dプリンターのスタートアップ。「 BS Toy 」開発に当たり、フィラメントベンダー Polymakr LLC と組み、専用フィラメント「 LT80 」を共同開発した。このフィラメントは融点が 80 °C に設定されており、 180 °C 近辺まで加熱する必要がある従来の PLA 製品と比べはるかに低温で造形可能になっている( ABS フィラメントはさらに高温まで加熱する必要がある )。またこの専用フィラメントはアメリカ食品医薬品局( FDA )の安全認証も取得している。「 BS Toy 」の販売予定価格は現時点では未定だが、今年中の販売開始を目指しているという。

Bonsai Lab「 BS Toy 」の主な仕様:

本体外形:200 x 200 x 200 mm
本体重量:2kg
造形サイズ:130 x 125 x 100 mm
ノズル径:標準 0.4 mm、オプションで 0.2-0.5 mm も選択可能
フィラメント:LT80 フレキシブル フィラメント

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2015年2月2日月曜日

完全 DIY 方式オープンソース3Dスキャナー「Ciclop」

スペイン発:ハードウェアベンダー bq はこのほど、DIY 方式オープンソース3Dスキャナー キット「 Ciclop 」を公開した。制御回路と電源、micro USB などの接続ケーブル、ワッシャーやナット以外は全て3Dプリンタブル。ファイルは GitHub サイトからダウンロードでき、極めて安価な材料費のみで組み立てられる。

このようなオープンソースの3次元スキャナーは、既に「 FabScan 」や「 MakerScanner 」などがあったが、いずれも専用キットを購入する必要があった。対して bq の「 Ciclop 」は3Dプリント DIY 可能な仕様となっている。bq によれば、組み立てに必要な経費は 500 USD もかからないとしている。

3Dスキャニングソフトはマルチプラットフォーム対応の「 Horus 」を採用。 「 Horus 」は Python で書かれたオープンソースソフトウェア( GPL v2 license )。こちらも無償公開されており、ソースコードやアルゴリズムの変更 / 改訂を他の開発者が自由に行うことができる。同ソフトにはデータキャプチャ、イメージ3次元処理、キャリブレーション、3次元点群生成等の機能が含まれている。対応ファイルは .ply、.stl、対応 OS は Ubuntu、Fedora、Windows 7 / 8。

3次元センサーを構成するのは Logitec 製「 Logitech C270 HD webcam 」と class1ラインレーザーモジュール2基を搭載した ZUM BT-3288 ボードで、Bluetooth または USB 経由で接続した PC から操作する。

スキャン可能容量は 205 x 205 mm、スキャン精度は 0.5-5mm。スキャンテーブル直径は 20 cm。メタクリル樹脂製で、天面は滑り止め防止ラバーが覆う。

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2015年2月1日日曜日

損傷した気管を修復するバイオ3D再生技術を開発

米国サンディエゴ発:ファインスタイン医学研究所は現地時間1月 28 日、サンディエゴ市で開催された「第 51 回 米国胸部外科医学会年次総会」において、3Dプリント技術を応用した新たな気管修復 / 復元術を開発した発表した。

発表したのはホフストラ大学ノースショア LIJ 医学部博士課程に在籍する Todd Goldstein 氏。同氏はノースショア LIJ 医療システム 外科医チームと共同で、1年がかりで3D技術を用いた気管修復術開発に取り組んできた。

Goldstein 氏らの開発した方法は、「 MakerBot Replicator 2X Experimentalを使用して、一方のノズルから PLAベースのバイオ素材から成る足場材を、もう一方のノズルからは軟骨細胞やコラーゲンなどからなるバイオインクを吹き付けて軟骨組織を生成するというもので、長さ5cmの気管組織なら2時間以内で生成可能だとしている。生成後、バイオリアクターに入れて均一に増殖させて移植する。これは3Dプリントと組織再生医療とを組み合わせた手法で、腫瘍や気管内チューブ挿管術、鈍的外傷等で傷ついた気管組織の修復と復元に役立つという。また同氏によれば、バイオリアクターも手持ちの別の MakerBot Replicator を使用して既存の培養器を改造したもので、足場材生成に使用したのも市販の PLA フィラメントだという( 加熱時に殺菌されるため安全だとしている )。

Goldstein 氏は次のように述べている。「気管組織の3Dプリントは、未だ未開拓の分野。せきやくしゃみなどの動作に耐え、しかも首は自由に動かせる柔軟性を持たせなければならない。3Dプリントで足場を作れば、その都度外科医が検査して対応できる。人工細胞は3Dプリント中でも損傷しなかったし、その後も順調に分化し続け、気管軟骨細胞から細胞外マトリックスが目論見通り生成された」。

Goldstein 氏らのチームが開発した手法が実用化されるまでにはさらなる研究が必要だが、気管修復術を一変させる可能性がある。とりわけ小児外科に対しては患者の成長とともに柔軟に処置可能なので、その効果は大きいといえるだろう。

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