2015年3月20日金曜日

3Dプリントを根本から変える? まったく新しいラピッドプロトタイピング技術「 CLIP 」

米国カリフォルニア発:3月 16 日付 Science 電子版によると、ノースカロライナ大学チャペルヒル校( UNC チャペルヒル )の研究者チームがこのほど、ラピッドプロトタイピングを根本から変革する画期的技術を開発したと発表した。

それによると、「 CLIP( continuous liquid interface production ) 」と名付けられた新技術では光硬化性樹脂を従来のように「1層ずつ」重ねてプリントするのではなく、映画「ターミネーター2」に登場する T-1000 のように、「一気に」プリントすることが可能になったとしている。これにより出力時間が劇的に短縮できるという。

「 CLIP 」テクノロジー最大の特徴は、酸素と紫外線( UV )光とで浴槽内の光硬化性樹脂そのものを「成長させる」点にある。樹脂浴槽底面には酸素と紫外線光を透過させるコンタクトレンズ状の窓があり、浴槽底部に非硬化の非常に薄い「デッドゾーン」を形成する。この「デッドゾーン」を介して直上の樹脂を連続的かつ効率的に硬化させることにより3Dプリントを行う。

この素晴らしい新技術では、出力時間が従来方式比 25-100 倍にまで高速化するだけでなく、仕上がり精度も同時に向上するとしている。「 CLIP 」では連続的にプリントするため、射出成形製品にも匹敵する3Dオブジェクトの出力も可能で、その精度は 20 μm 未満( アクリル繊維並みの厚さ )の極小オブジェクトも造形できるという。エラストマー樹脂や、細胞組織として利用可能な生物素材にも対応可能だとしている。

UNC チャペルヒルの研究者チームは、特許申請中の「 CLIP 」の商用版開発を目的とするスタートアップ Carbon3D, Inc. を 2013 年に設立している。同社によれば、従来の3Dプリントは基本的に「1層1層、2Dプリントを繰り返しているだけ」で、完成までに何日もかかり、力学的特性にもムラがある。同社 CEO の Joseph DeSimone 氏は声明で、「現行の3Dプリント テクノロジーはモノ作りに革命を起こす約束を果たしていない。我々の CLIP テクノロジーはこの現状に一大変革を起こすスピードと安定した力学的特性を提供し、複雑多岐に渡る商用製品製作に要求される素材が選択可能だ」と述べている。

同社によると、年末には「 CLIP 」テクノロジーを搭載した新型3Dプリンターを発売する計画だ。この「 CLIP 」プリンターの詳細な仕様および価格については現時点では未定。



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