2015年3月15日日曜日

「分子3Dプリンター」で画期的新薬も生まれるか? 

米国イリノイ州発:イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の化学者チームはこのほど、ブロック状に生成した有機小分子を専用の分子3Dプリンターで接合して、新しい有機化合物を合成する技術を開発したと Science 電子版に発表した。

Martin D. Burke 医博率いる同大学ラボの開発チームによれば、従来の合成方法では合成計画に基づき出発物質から新規に合成化合物を生成するには、生成途上で発生する様々な化学反応を考慮に入れるなど複雑で、時間もコストもかかっていた。Burke 博士らのチームが開発した新技術は、このボトルネックを自動化によって解決しようとする画期的なものだ。

Burke 博士は次のように述べている。「我々は非常に複雑な有機合成プロセスをもっとシンプルなものにしたかった。シンプルになれば自動化も可能になり、そうなれば幅広い分野で新たな発見が生まれ、また化学を専門としない人にも有機合成物生成が可能になる」。

Burke 博士らチームの開発した手法は、有機分子を LEGO ブロック状に小塊化して、それを出発原料とし、通常の化学反応を利用してレゴのピースを1つずつ嵌めこむように、分子3Dプリンターで新たな組成の分子を形成するというもの。

開発チームによれば、特定の有機分子について、研究者が利用可能なマニュアルを近日中にネット上に公開し、自由にダウンロードできるようにするという。

Burke 博士のチームが開発したこの新技術は、たとえば新薬開発にかかる時間を大幅に短縮することを可能にし、また LED や太陽光発電パネル等に使用される小分子の生成にも応用可能だとしている。同開発チームによれば、新開発した分子3Dプリンターで利用可能な「 LEGO ブロック」状基礎分子は現時点で約 200 あり、理論上は同様の分子ブロックを何千も生成可能だとしており、これらを合成した場合、10 億単位の新規有機合成化合物が生成可能になるという。

また Burke 博士は共同でスタートアップの Revolution Medicines を設立し、この有機小分子合成の自動化技術の許認可を取得する一方で、早くも次世代型分子3Dプリンター開発に乗り出している。



参照元記事1
参照元記事2.
参照元記事3.