2015年5月5日火曜日

3Dプリントで「ミロのヴィーナス」の謎も解明される? 

フランス発:ルーヴル美術館に常設展示されている古代ギリシャ彫像の傑作「ミロのヴィーナス( B.C. 100 頃 )」。1820 年にミロス島の小作農が古代遺跡で発見したこの彫像は、両腕が欠けた状態で出土した。以来、様々な「復元像」が試みられてきた。

ヴィーナス像の姿勢と視線から、本来は「糸を紡ぐ」姿を象ったものかもしれないと考えた著述家 Virginia Postrel 氏は、古い友人でもある米サンディエゴ市在住のデザイナー Cosmo Wenman 氏に3Dモデル製作を依頼した。Wenman 氏は 1850 年の石膏像の3次元フォトキャプチャーから「ミロのヴィーナス」の忠実な縮尺レプリカを製作している。両氏は3Dキャプチャーデータを基に「復元した姿」の卓上モデルを出力するため、 Shapeways のサービスを利用することにした。

同モデル本体は白の樹脂製で、左手の羊毛の球は木製で金色に着色してある。紡錘に巻き取られた撚り糸は金のチェーンで、これらは出力されたヴィーナス像本体に後から接合されたもの。Wenman 氏はこのレプリカ製作で気付いたこととして、これらの道具はオリジナルのヴィーナス像でも重い大理石で作られてはいないはずだとし、木のような軽い素材か、もしくは貴金属製だったのではないかと推測している。

Postrel 氏は、「今回の推定復元レプリカが証明したのは、妥当な推論」だと述べている。知的財産上の問題などはあるものの、3次元スキャニング、デジタルデザイン、そして3Dプリントといった技術は、今後も数多ある古典作品に新たな解明の光を当てることに貢献するのは間違いないだろう。

→ 参照元記事1
参照元記事2