2015年6月8日月曜日

英大学の研究者チームが世界初の高速量産型3Dプリンターを開発

英国・サウスヨークシャー州発:現在の産業向け3Dプリンターは主に少量ロットの試作用として使用される場合がほとんどだが、このほどシェフィールド大学研究者チームは、「従来の 100 倍高速で、3倍の大きさの製品を量産できる」3Dプリンターを開発した。

同大学製造エンジニアリング科教授 Neil Hopkinson 氏らのグループは、全英工学物理科学研究会議( EPSRC )から 100 万ポンドの資金援助を得て、「射出成形にも匹敵する高速・大量生産」を可能にする画期的な3Dプリンターだとしている。同氏らはこの3Dプリンター搭載の新技術のライセンス提供をベンダー向けに行い、2017-18 年にかけて市場投入してもらう計画だ。

Hopkinson 氏らグループの開発したこの3Dプリンターは、同氏がラフバラー大学在任中に特許を申請したハイスピード焼結法( HSS )という新技術がベースになっている。HSS の原理は、ポリマー樹脂パウダーの1層毎に赤外線を吸収する特殊インクを吹き付け、インクを吹き付けた層を赤外線の選択的照射で溶融させ、造形するというもの。この HSS3Dプリンターは最大で洗濯機ほどの大きさの製品を出力することが可能。出力速度は製品形状に左右されるものの、小型部品なら1秒もかからないとしている。

積層造形業界の年次リポートの発行元 Wohlers Associates, Inc によれば、全世界の3Dプリント関連製品およびサービス市場規模は 2013-14 年にかけて 35.2 % 増の 41 億ドルに達しているという。Gartner のアナリストは、「数年前と比べて、積層造形業界の成長は劇的だ」と評する。

英国政府も業界活性化を梃入れしている。昨年、英政府は1億 5400 万ポンドの財政支援を行っている。同時に、航空宇宙、自動車、医薬の各産業へ3Dプリント支援を行うための国立センターを今年中にコヴェントリー市に開設する計画だ。



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