2015年11月30日月曜日

従来より低コストで MRI 画像を3Dプリント可能な形式へ変換する方法が公開中

米国マサチューセッツ州発:Franklin W. Olin カレッジ・オブ・エンジニアリング機械工学科准教授 Christopher Lee 博士らの研究者チームは現在、MRI 画像を従来方式より低コストで3Dプリント可能な3Dモデルデータに変換する新方式を DIY コミュニティサイト Instructables 上で公開している。

Lee 博士の許で研究しているSelkey Moonbeam 」氏によると、今回の新方式を前立腺癌の症例に使用したという。同氏は Instructables 上で、MRI 画像を3Dモデルデータに変換する 13 の手順を示している。それによると 3D Doctor3D SlicerNetfabbSolidworks 等の既存ソフトウェアを使用しつつ、オープンソースベースの無償ソフトでも同様の変換処理が可能なことを説明する。

同時に CT スキャン画像を3Dメッシュデータ化して最終的な STL ファイルを生成する際の技術的問題も存在する。Moonbeam 氏はこの問題にも取り組み、DICOM 規格もしくは CT スキャンムービーから InVesaliusBlender 等のフリーウェアにインポートして3Dメッシュデータ化する方法も提示する[ 同氏はまた、DICOM 画像を JPEG 形式に変換する MicroDicom というフリービューワソフトも紹介している ]。癌モデルについては、Cancer Imaging Archive という匿名化されたガゾウデータベースが無償で利用できる。

Moonbeam 氏は、今回公開した変換方式によって、放射線治療を受ける前立腺癌患者と施術する担当医師双方の負担軽減が目的だと述べている。

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2015年11月28日土曜日

小型ヒト属絶滅種の頭骨を3Dプリントで復元

カナダ・オンタリオ州発:サンダーベイ市のレイクヘッド大学人類学部助教 Matthew Tocheri 博士は、同大学に新たに導入された3Dプリンターで、約 5 万年前に生息したと推定される小型のヒト属ホモ・フローレシエンシスの頭骨断片から本来の姿を復元した3次元レプリカを製作した。

Tocheri 博士は現在、2003 年にインドネシアで発見されたこのヒト属絶滅種の研究に取り組んでいる。フローレス島で発見されたこの骨片は化石化していなかった。そのため「非常に脆く、石膏型を取るといった従来の手法では標本を破壊する恐れがあった」と博士は言う。「彼らはコモドオオトカゲと共にフローレス島に生き、現世人類[ 新人 ]の始祖の出現期まで存在していた」が、現世人類と接触があったかどうかは定かではない。

Tocheri 博士によると、原標本の頭骨片はインドネシア国立考古学センターに保管されている。今回のレプリカ製作に当たり、原標本をジャカルタ市内の病院に運び、CT スキャンを行って3Dデータを取得した。

「3次元の実物大レプリカを手に持って観察するのと、コンピュータ画面上で平板なデジタル画像を観察するのとでは大違いだ」。

ホモ・フローレシエンシス頭骨復元に使用された3Dプリンターは、Canadian Foundation for Innovation およびオンタリオ州の助成によって同大学に納入された。

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2015年11月27日金曜日

英 Renishaw も新型金属 AM 機2製品を発表

ドイツ / 英国発:今月 17 - 20 日 にかけてフランクフルト市で開催された製造機械関連国際見本市「 formnext 2015 」では TRUMPF GmbH & Co. KG の新型レーザー3Dプリンターおよびレーザー加工機4機種の他にも、オランダの Additive Industries b.v. が出品した次世代3D AM 複合機「 MetalFAB1 」など、大型の金属素材加工用3Dプリンター製品の出品が目立つイベントとなった。

英国の医療機器および計測機器製造 Renishaw plc も今回、同見本市会場にて新型金属 AM 機2製品「 RenAM 500M 」および「同  400 」を披露すると共に、造形用ソフトウェアパッケージ「 QuantAM 」も公開した。

「 RenAM 500M 」は複雑な形状の金属製品造形用 AM 機として設計された。最大造形サイズは 250 x 250 x 350 mm、ダイナミックフォーカス、金属素材粉の入れ替え等をほぼ人手を介さず自動化したシービング / 再循環機能、19 インチ タッチパネル式インターフェイス、出力 500 W イッテルビウムファイバーレーザーを搭載した金属粉床レーザー溶融結合( Laser Powder Bed Fusion )方式の AM 機。チタン、ニッケル、アルミの各合金、コバルトクロム、ステンレス鋼、歯科技工用コバルトクロム、医療用チタン合金等の金属粒子素材に対応する。

「 RenAM 400 」は同社「 RenAM 250 」の改良機。最大造形サイズは旧型機と同じ 250 x 250 x 300 mm だが、本体は旧型機よりコンパクトになっている。従来製品より大型化された SafeChange™ フィルター、ガスフロー調節機能の改善、新開発の出力 400 W ファイバーレーザーは直径僅か 70 μm に集束化され、高精度の加工が可能。造形室外にホッパーがあり、作業途中の素材の追加 / 排出も容易に行えるとしている。

「 QuantAM 」は同社の説明によると、「ハードウェア制御ソフトとより緊密に統合した、造形ファイルを高速かつ精密に検証する」同社積層造形システム専用ソフトウェア。対応3Dデータファイル形式は .STL 。

同社は来年、 AM マニュファクチュアリングセンターの稼働も計画している。これは金属積層造形システムを顧客企業の既存設備へのスムーズな統合を実現させることを目標としている。

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2015年11月26日木曜日

東芝機械、従来比 10 倍以上の新型金属3Dプリンターの試作機を開発

日本発:東芝機械株式会社( TOSHIBA MACHINE CO., LTD. )は 11 月 25 日、従来比10倍以上の造形速度を実現させた新型金属3Dプリンターの試作機を親会社の株式会社東芝と共同開発したと発表した。

この新型金属3Dプリンターの試作機は、レーザー照射と同時に金属粒子を噴射して高速造形するレーザーメタルデポジション( LMD )方式によって製品加工を行うが、同社の持つ流体シミュレーション技術を応用した新開発の噴射ノズルにより、従来製品と比べて金属粒子噴射面積が極小まで集束化され、同時に精確なレーザー照射によって大幅な高速化が可能になったという。社内テストでは、 出力 800 W レーザーで 110 cc / h の加工速度を実現している。同時に、大型工作物の造形も従来手法より低コストで可能になったとしている。

使用素材はステンレス鋼、インコネル、鉄など幅広く対応する。同社は 2017 年頃を目処に今回の試作機をベースにした製品版を発売する計画で、製品版では試作機よりさらに高速化と高精度化、3D CAD ソフト相互運用性能向上を図る。

今回の新型金属3Dプリンターの試作機実機は、来月 2 - 4 日に開催される「モノづくりマッチング  Japan 2015 」会場[ 東京ビッグサイト 東5ホール ]にて展示される。

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2015年11月22日日曜日

金属版「 Polyjet 」技術を搭載した低価格・高速な新型3Dプリンターを来年にも発売へ

イスラエル発:3Dプリンター製造スタートアップ Xjet は流体金属素材を「インクジェット」方式でプリントするまったく新しい方式の金属3Dプリンターを来年にも発売する計画だ。

同社を設立したのは現在 Staratasys, Ltd. の子会社となっている Objet の設立者で、Objet の元 CEO の Hanan Gothait 氏。Objet は PolyJet テクノロジーを開発し、同技術を搭載した「 Objet 500 Connex3 」などの製品シリーズを成功させている。2012 年に米 Staratsys に買収された。

同じく Objet 元 CTO で、現 Xjet CBO の Dror Danai 氏によれば、この新機構を持つ金属3Dプリンターは特許申請中の新技術「 ナノメタルジェット( NMJ )」により、既存機種の多くが採用している金属粉を焼結する方式に比べて極めて短時間で製造可能にする「 Polyjet テクノロジーの金属版」で、新開発の流体金属素材インクを使用するという。

現在市販されている金属3Dプリンターの殆どは非常に高価だが、同社は新開発したこの新型金属3Dプリンターなら手頃な価格帯に抑えられるとも付け加えている。

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2015年11月21日土曜日

「 Form 2 」の 40 倍も高速かつ高精度な画期的デスクトップ光造形3Dプリンター「 NX1 」

英国 / イタリア発:イタリア人 IT エンジニア Gianni Zitelli 氏ら3名がローマ市で創業したスタートアップ NEXA3D は Kickstarter 上で、「世界初の最速 / 高精度デスクトップ3Dプリンター」と銘打った「 NX1 」の生産資金出資者募集キャンペーンを展開している。

Zitelli 氏らによると、「 NX1 」は「自己潤滑副層光硬化 Self-Lubricant Sublayer Photocuring ( LSPc™ )という新開発の技術[ 特許申請中 ]により、Form Labs の「 Form 2 」より約 40 倍という高速プリントアウトが可能になったという。LSPc のメリットは、「 NX1 」専用に開発された光硬化樹脂層と樹脂槽底面と光源との間に透明な潤滑膜を自動生成することでほぼ連続的に途切れることなく造形処理が実行できる点で、従来の DSP、SLA 機のような造形物の吸い付き問題もなく、また連続的処理が可能になったことで非常に高速なプリントアウトを実現している。たとえばチェスの駒一式を製作する場合、わずか 5 分で全ての駒が造形可能だとしている。造形プラットフォームの寸法は 120 x 90 x 200 mm。

「 NX1 」は使い勝手も追求されている。カートリッジタンク、洗浄タンク、造形室といった機構全てが同じ筐体に収納されたユニボディ型で、デザイン性にも優れている。スタンドアロンタイプで、Wi-Fi およびイーサネット接続環境があればタブレット端末からも遠隔操作が可能。本体と造形プラットフォームはマグネット接着されているだけなので、脱着の際もドライバー等は不要だ。大型造形物のプリントの際の樹脂切れもカートリッジタンクを入れ替えるだけで済み、また異なる樹脂に切り替える時の洗浄作業も自動で行われる。余った樹脂は全て本体内でリサイクルされ、次回のプリント作業に再利用されるので1滴も残さず使い切ることができる。

同社によると、Kickstarter 早期予約特価は 1,399 EUR。「 NX1 」の調達済み資金総額は現時点では 38,438 EUR で、目標金額 160,000 EUR にはまだ届いていない。出資者募集期間は来月 23 日まで。



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2015年11月20日金曜日

独 TRUMPF、産業向け新型レーザー3Dプリンターなど4機種を披露

ドイツ・ヘッセン州発:レーザー加工機の世界最大級メーカー TRUMPF GmbH & Co. KG は、現在フランクフルト市で開催中の製造機械関連国際見本市「 formnext 2015 ( 主催:Mesago Messe Frankfurt GmbH、会期は 11 月 17 - 20 日 )」で、新型レーザー3Dプリンターおよびレーザー加工機4機種を披露した。

「 TruPrint 1000 LMF 」および「 同 3000 LMF 」は、レーザー金属融合( LMF )という方式の金属加工用レーザー3Dプリンター。「 1000 LMF 」は最大造形直径 x 最大造形高が 100 x 100 mm の小型モデル、「 3000 LMF 」は 300 x 400 mm の大型用モデル。操作は内蔵の大型タッチパネルで直感的に行える。「 1000 LMF 」は供給シリンダー、造形室、残余粉レシーバー等が単一ハウジング内に収納されて金属粉から製品造形までの全工程が行える。ステンレス鋼、工具鋼、アルミ鋼等、溶着可能な金属粉に対応する。造形室は火災防止のために気密構造で、室内の酸素濃度は 0.1 % に保たれる[「 3000 LMF 」での加工中の最大温度は 500 °C に達する ]。

「 TruLaser Cell 7040 」および「 同 Cell 3000 」はレーザー金属溶着( LMD )方式のレーザー加工およびレーザー肉盛溶接システムで、「 Cell 3000 」は小型機種。両機種は既存金属製品に新しい部材を追加する場合などに 500 cm³ / h という高速で新部品の溶接が可能で、溶接する方向も選ばない。

TruePrint および TruLaser 4機種は、同社と技術提携を結んでいる伊 Sisma S.p.A. と共同開発したシリーズ製品。

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2015年11月16日月曜日

「触って見られる」3Dプリントアート制作会社が出資者を募集中

米国ニューヨーク州発:3Dプリントアートのスタートアップ 3D PhotoWorks は視覚障がい者向けの「触って見る」複製作品制作プロジェクト「 3D Tactile Fine Art Printing 」を立ち上げ、目下 Kickstarter 上で出資者を募集している。調達目標金額は 500,000 USD だが、募集開始から数日で既に 3,966 USD が集まっている。

同社共同設立者の1人 John Olson 氏は次のようにコメントしている。「弊社の目標は、世界最高品質の複製絵画および複製写真作品を制作し、視覚障がいのある来館者が楽しめるようにあらゆる美術館、科学文化施設に配給することだ」。同社は集まった資金で筆使いまで実感できるような、更なる高精細3D 化を実現させたいとしている。

3D PhotoWorks は視覚障がい者向け絵画複製制作を事業化するため 7 年前に設立された。同社は 2 年に渡り、米国視覚障がい者連盟所属者を対象にモニタリングも実施し、改良を重ねてきた。同連盟ワシントン州支部カンファレンスでは、12 歳の目の不自由な少年もこの「3D複製」絵画作品の広報担当として加わり、来場者に紹介した。展示作品には「モナ・リザ」や「デラウェア川を渡るワシントン」、「医師ガシェの肖像」といった定番の名画から、ワシントン州の精密な3次元地図まであり、とりわけワシントン州の3次元地図は非常に人気があったという。

同社はこのサービスの本格運用を米国から順次開始してゆくとしている。「 3D Tactile Fine Art Printing 」の出資者募集期間は現地時間 12 月 10 日まで。


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2015年11月15日日曜日

MTU 学生グループの再生フィラメント開発が 25,000 ドルの資金を獲得

米国ミシガン州発:ミシガン工科大学( MTU )准教授 Joshua Pearce 氏とその学生5名から成る Open Source Hardware Enterprise はこのほど、再生プラスチック樹脂から3Dプリンター用フィラメントを開発する研究で、Ford Motor Company Fund の主宰する「 Ford College Community Challenge 」から 25,000 USD の資金提供を受けた。

Pearce 氏および学生リーダー Lucas Wilder 氏によれば、同コンペに入賞したプロジェクトは、地域社会から排出される雑多なプラスチックごみを再利用した完全リサイクル3Dプリント製品の開発と販売を行うというもの。同コンペは毎年、持続可能な技術開発を行っている学生とその団体の企画を審査し、秀逸なアイディアには資金提供して実現化を後押しする。

FDM / FFF タイプの3Dプリンター用フィラメントの主流製品は現在、生分解性プラスチック樹脂 PLA と 石油由来の ABS 樹脂とに大別され、共にカテゴリー7に属する汎用プラスチック樹脂。現時点で MTU 学生グループが再生フィラメント材の製造に成功しているのはカテゴリー2の HDPE に留まっている。だがコンペで獲得した資金を活用して、カテゴリー1に属する PET 製品からも再生フィラメント開発に取り組んでいるが、PET はフィラメントとして再利用する場合、極度の乾燥が必要な事と加工温度設定の難しさが技術的なネックとなっている。

アッパー半島等の自治体は遠隔地で処理施設までの運搬費用が高くつくといった問題もあり、リサイクルがあまり普及していない。同大学産業連携部長 Pete Cattelino 氏は、今回の資金獲得により、同学生グループの試みとこれら自治体との連携で事業化に弾みを付けたいとしている。

MTU 学生グループが試作を繰り返した結果、現段階では再生フィラメントスプール 1 kg 分の製造に牛乳容器 20 個が必要だという。再生フィラメント製造にはオープンソースの RecycleBot を使用、そのコストは 1 ドル未満だ。この RecycleBot はカテゴリー1と2に属するプラスチック製品にも対応可能に改造されている。

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2015年11月14日土曜日

3Dプリントを使用した画期的手術法に蘭財団が 50,000 EUR の資金提供へ

オランダ南ホラント州発:ライデン大学およびエラスムス医療センターの研究者チームはこのほど、3Dプリント技術を援用して二分脊椎症を新生児段階で未然に防ぐ研究に対して、科学技術振興財団 STW から 50,000 EUR の資金提供を受けた。

同大学医学部教授 Dick Oepkes およびエラスムス医療センターの Alex Eggink 両氏は、子宮内3Dプリント技術を開発して侵襲性のほとんどない手法で新生児の脊椎に生じた「隙間」を埋める画期的な外科手術の開発に従事している。

二分脊椎症( Spina bifida )は胎児の脊椎の先天的形成不全の1つで、本来は脊椎内に収まるべき脊髄組織が外に飛び出し、損傷や癒着を起こす。米国内で年間に誕生する新生児 400 万人のうち、1,500 - 2,000 人にこの発育異常が発症している。二分脊椎症に罹患している子供は約 166,000 人いると推定される。

二分脊椎症は初期段階で発見可能だが、その対処方法は中絶するか、母子共に危険を伴う外科手術を受ける以外に選択肢がないのが現状だ。また二分脊椎症は認知制御系に影響を及ぼし、ADHD 等の発達障がいの一因とも言われている。

Oepkes 氏らのチームが開発した方法は、妊娠の非常に早い段階で、胎児の背面の問題の箇所に3Dプリントした「シール」を貼り付けるというもの。このシールは人体に無害なフレキシブル素材からできており、胎児の発育に合わせて伸張する。同チームの研究開発が計画通り進捗すれば、向こう数年以内にも外科療法として適用される見通しだという。

STW はオランダ教育文化科学省および経済省傘下のオランダ科学研究機構( NWO )から年間予算1億 100 万ユーロを支出されている科学技術振興財団。Oepkes 氏ら研究者チームが受けた資金は同財団の Open Mind Grant と呼ばれる補助金提供制度によるもので、これは技術医療分野において独創的かつ野心的な研究開発を推進してもらう目的で設置された。



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2015年11月13日金曜日

IEEE-SA が医療用3Dプリント関連新標準規格を策定中

米国発:米国電気電子学会標準規格( IEEE-SA )は現在、医療用3Dプリントで使用されるバイオ CAD ファイルの新標準規格「 IEEE P3333.2.5 」の策定作業を進めている。

同規格は IEEE-SA が9月に正式承認した一般コンシューマー向け3Dプリンター向け標準規格「 IEEE P3030 」に次ぐもので、現時点では草案[ ドラフト ]規格。この規格に準拠した医療用3Dプリンターを使用すれば、標準化された手順に従うだけで人工装具等の医療機器の製作が容易になる。

IEEE は声明で次のように述べている。「医療用3Dプリント分野にとって便利でコスト効率の高い製品を生産可能にすること、そのようにして作られた製品に対して高い信頼性を持たせることはとりわけ重要だ。策定中の同規格が正式承認されれば、解剖 / 疾病モデル、および治療機器等を製造する医療用3Dプリントサービス標準化のために適用される」。

また IEEE-SA は、「生体認証オープンプロトコル標準規格( IEEE P2410-2015、BOPS )」を正式承認したことも合わせて発表している。こちらは eヘルス機器間での生体データのやりとりに関する新しいサイバーセキュリティ標準規格で、サーバー間のセキュアな接続を確保すると同時に、外部からの侵入者の検知も行う。

ほかにも IEEE-SA では医療関連標準規格「 IEEE 11073 」の策定作業も進めている。これは患者個人のデバイスと医療機器間で通信される用語を統一し、異なる機器間での診断の食い違いの防止を目的としており、国際的な医療関連命名データベース LOINC に準拠している。IEEE 11073 に関しては、米国標準技術研究所( NIST )と共同で今後2年半ほどかけて正式運用を目指すとしている。

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2015年11月9日月曜日

点字楽譜よりはるかに使いやすい「3Dプリント楽譜」の開発が進行中

米国ウィスコンシン州発:ウィスコンシン大学の元学生 Yeaji Kim 氏は、3Dプリント技術を使って視覚障がい者が手軽に扱える「触って読む楽譜」の開発に取り組んでいる。

「 Tactile Stave Notation 」と名付けられたこの楽譜は従来のブライユ点字楽譜と異なり、通常の楽譜とまったく同じ様式のまま、浮き彫りのように立体化されている。Kim 氏によると、点字楽譜の欠点を改善するためにこの3Dプリント楽譜を思いついたという。

Kim 氏自身も視覚障がいを持つ音楽家であり、従来の点字楽譜は音楽初学者にとって非常に扱いにくく、また点字楽譜の読める教師も確保する必要がある。

同氏の指導教官で同大学音楽学部でピアノ教授法を講じる Jessica Johnson 氏は次のように述べている。「これはまさに画期的なシステムだ。[ 視覚障がい者が ]音楽を学ぶ方法を根本から変える可能性がある。より多くの人が多種多様な音楽を学習する機会を与えるもので、非常に素晴らしいと思っている」。

Kim 氏はこの3Dプリント楽譜の作成に当たって SLS 方式3Dプリンターを使用し、音符等を立体的に浮き出させている。解像度は 7 µm 以下と高精細で、細かな部分も忠実に再現されている。

大学卒業後に母国に帰国した Kim 氏は引き続き大学の研究者仲間から試作品を送ってもらい、自らテストして最良で、残留粉による怪我の心配もない安全な解像度を探り、3Dプリント楽譜の改良を続けている。同氏は現時点での問題点として、プリント中の急激な温度変化による収縮および反りが発生する可能性を挙げている。



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2015年11月7日土曜日

一部の3Dプリント製品はゼブラフィッシュに有害と研究者が発表

米国カリフォルニア州発:カリフォルニア大学リバーサイド校( UCR )研究者グループは現地時間 11 月 4 日、一般コンシューマー向け3Dプリンターで出力したオブジェクトに魚類の胚細胞に有害な物質が含まれていると Environmental Science and Technology Letters 電子版に発表した。

同大学内ボーンズ・カレッジ・オヴ・エンジニアリング( BCOE )生体工学科助教 William Grover 氏は次のように警告する。「このような3Dプリンターは、言わば箱に入った工場だ。工場には法規制がかけられ、一般家庭を工場にすることなど考えられない。だが我々は3Dプリンターという工場を、トースターと同じ感覚で自宅に持ち込んでいる」。

Grover 助教らのグループは、3Dプリンターを FDM/ FFF 方式と、光硬化液体樹脂を使用する「光造形( SLA )」方式とに分けて検証した。

Grover 助教によると今回の検証実験は昨年、同助教が研究用に3Dプリンターを1台購入したことがそもそもの始まりだったという。同助教率いる研究者グループの1人で大学院生 Shirin Mesbah Oskui 氏がゼブラフィッシュ調査ツール作りに3Dプリンターを使用したところ、プリントアウトされたオブジェクトに曝されたゼブラフィッシュの胚細胞が死んだことに気づいたからだ。

そこで両氏は3Dプリンターで造形した製品の毒性について検証実験を行った。実験に使用したのは FDM タイプが Stratasys の「 Dimension Elite 」、SLA タイプが FormLabs の「 Form 1 + 」で、共に直径1インチ[ 2.54 cm ]の平皿状のオブジェクトを出力した。それをゼブラフィッシュの胚細胞が入ったシャーレに移し、胚細胞の生存率と孵化率、発育異常を調べた。

その結果、FDM 方式3Dプリンターで造形した平皿に曝されたゼブラフィッシュの胚細胞はそうでない胚細胞と比べて生存率が若干低下した。一方、SLA 方式3Dプリンターで造形した平皿に曝された胚細胞の生存率は著しく低下した( 3日目に半数以上が、7日目には全ての胚細胞が死滅した )。辛うじて孵化した稚魚も、SLA 方式3Dプリンターの造形物に曝されると、発育異常率が 100 % だったという。ただし SLA 方式の場合はオブジェクト取り出し後に1時間ほどの UV 照射によって毒性が抑えられることも判明している。Grover 助教は、いずれは米国環境保護庁による有害物質規制法( TSCA )のような何らかの法規制の対象になるだろうとしている。

Grover 助教らによると、今後は3Dプリンターに使用される素材の毒性について、詳細な調査を行う計画だ。

Grover 助教は、「私も含めて多くの人が3Dプリントに興奮を覚えているが、ここで一歩下がって、プリントアウトされる素材がどの程度安全なのかを問う必要がある」と述べている。




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2015年11月6日金曜日

クラシックレーシングカーが1/2 スケールの3Dプリントカーとして復活

ドイツ・バイエルン州発:Audi の技術部門 Audi Toolmaking はこのほど、1936 年製レーシングカー「 Auto Union Type C 」の1/2 スケールの忠実なレプリカを3Dプリントを使用して製作した。

今回、同部門が製作したのは Audi の前身 Auto Union がレース専用に開発した「 Type C 」。このレプリカ製作に当たり、選択的レーザー焼結方式( SLS )金属3Dプリンターが使用された。Audi によると、現在、同社組立工場では最大長 240 x 最大高 200 mm までの鉄およびアルミニウム部品は既に SLS3Dプリンターで生産しているという。3Dプリント方式の利点は従来の加熱成形、ダイカスト成形より密度の高いパーツが製作可能な点を挙げている。

Audi 生産部門執行役員 Hubert Waltl 博士は次のように述べた。「弊社は今後も生産部門に新技術を導入し、躍進する。現在、提携企業と共に新プロセスの可能性を探求しているところで、最終目標として金属3Dプリンターを連続生産現場に配備することも掲げている」。

今回、3Dプリントによって縮小スケールレプリカとして蘇った「 Type C」は 1930 年代、Auto Union がライバルの Mercedes-Benz とグランプリレースの優勝争いを繰り広げ、共に「 Silver Arrow 」と呼ばれたクラシックレーシングカーの名車。



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2015年11月3日火曜日

「危機的歴史遺産」の3Dデータベース化計画が始動へ

アラブ首長国連邦ドバイ発:アラブ首長国連邦( UAE )はこのほど、中東地域に残されている貴重な歴史遺産群の保全策として、3Dプリントを含む最新3Dデータベースプロジェクトを開始すると発表した。

それによると、同国の「未来ミュージアム財団」と国連教育科学文化機関( UNESCO )、英国のデジタル考古学研究所( IDA )と共同で、中東全域の「危機的」歴史遺産を3Dデジタル撮影したデータベースを作成し、万一の際に3Dプリントによって復元するとしている。

近年、中東地域の歴史遺産は過激派組織による破壊が続いている。今年に入ってシリアの世界遺産パルミラ遺跡のベル神殿も破壊された。UAE の今回の取り組みは、中東に残された歴史的、文化的遺産を守るための一環として打ち出された。

同財団および IDA は 2016 年末までに、世界各地の広範な遺跡群を撮影した 100 万枚の3Dデジタルイメージを最初にデータベース化するとし、紛争地域向けに安価な市販3Dカメラの改造機 5,000 台を配給するとしている。

IDA 側は今後ポータルサイトを設置し、メディア戦略およびソーシャルネットワーク上での広報活動を計画している。

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2015年11月2日月曜日

10 歳の少年が義手を公共図書館で3Dプリント

米国デラウェア州発:公共図書館のプリントアウトサービスはとても便利だが、ニューキャッスル郡クレイモントに住む 10 歳の少年 Colin Consavage 君の場合、プリントアウトしたのは自分の左手の指だった。

Colin 君は子宮内における発育異常のため、左手指の成長不全というハンディキャップを抱えている。数年前、Colin 君は メイカーズフェアで、弟の Riley 君が母親の Clare さんとプラスチック製ロボットハンドを付けて「 love 」に当たる手話を交わしていたのを見て、「自分の左手にも装着して指の代わりをしてくれたらどんなにいいだろう」と考えた。

そこで Clare さんは ウィルミントン公共図書館 が「 MakerBot Replicator2 」1台を所有していることを知り、早速利用することにした。

デラウェア州にある 10 の公共図書館には「イノベーションスペース」と呼ばれるコーナーが設置され、FDM 3Dプリンターが誰でも無料で利用できる。

Colin 君の「ロボットハンド」は各パーツのプリントと完成までに 12 時間ほどかかった。3Dモデルデータは世界最大の3Dプリント義肢提供コミュニティ e-NABLE のサイト上で見つけ、Colin 君の左手の大きさを測った上で、図書館に3Dプリンターの利用を申請した。

それ以来、Colin 君は3Dプリント義手を片時も離そうとせず、寝る時も外したがらなかった。小学校では友達から3Dプリント義手について、いろいろ質問を受けるという。「みんなはかっこいいと思っているみたい。これをつけて腕相撲にも勝った」。

Colin 君の「ロボットハンド」は、体の成長にあわせて更新する必要がある。Colin 君はペンシルベニア州の工学部に学ぶ大学生達と共にさらに優れたバージョン開発にも取り組んでいる。



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2015年11月1日日曜日

300 ドルの FDM 3Dプリンターで「人工毛髪」試作に成功

米国ペンシルベニア州発:カーネギーメロン大学ヒューマン コンピューター インタラクション研究所 ( HCII )は現地時間 10 月 28 日、3Dプリント技術を使用して人工毛髪を製作したと発表した。

同研究所博士課程に在籍する Gierad Laput 氏によると、ノズルヘッドキャリッジや造形ベッドを急速に動かすことで放出中の素材が細い線状になり、極細の直線状繊維にすることに成功したという。「発想自体はグルーペンを見て思いついた、至極シンプルなものだった」。

開発に当たった Laput 氏ら3名の学生グループによると、使用した3Dプリンターわずか 300 ドルほどの FDM 方式の市販品で、「髪の毛」の材料も市販の PLA フィラメントだったが、複雑な素材を使用すればその特性によって、新規な効果を生み出すことも可能だという。今回試作した「人工毛」はカットしたり、ドライヤーの熱でカールさせたり、三つ編みにしたりすることもできたという。

ただし同氏によると、人間の頭のサイズをカバーする「かつら」を今回開発した3Dプリントで作る場合、小指の先くらいの 10 mm² 当たりにつき 20 - 25分はかかるというから、相当な時間がかかることになるという。現状では、例えば部分的な付け毛や歯ブラシの毛等に活用できる可能性を示している。


Laput 氏らの研究成果は来月 11 日にノースカロライナ州シャーロット市で開催される UI 技術関連カンファレンス UIST 2015 にて発表される予定だ。



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