2015年12月27日日曜日

ツタンカーメン王の黄金のマスク、「付け髭」復元に3Dスキャンも一役買う

エジプト発:昨年8月、エジプト考古学博物館に展示されている古代エジプト新王国時代の少年王ツタンカーメン[ Tutankhamun ]の黄金のデスマスクの「付け髭[ 顎髭 ]」が、博物館職員の不手際から脱落し、その後の杜撰な補修方法が物議を醸したが、このほど専門家チームによる修復作業が完了し、同博物館は現地時間 12 月 17 日より同マスクの展示を再開した。

同王の黄金のマスクと付け髭は 10 月、エジプトとドイツの専門家チームによって修復作業が始められた。修復チームはまず黄金のマスクの3Dスキャンデータを数回に渡って取得した。その結果、古代エジプトの至宝を傷つけることなく接着剤のエポキシ樹脂を完全除去する方法として、段階的に温めて固まった接着剤を溶かし、それを木のへら等を使用して慎重に取り除くのが最善策だと判断した。

こうして同チームは無事に付け髭を再び取り外した後、今度は伝統的な昔ながらの手法に立ち返って元通りの姿に修復を試みた。同チームは数々の接着方法を検討していたが、最終的には「蜜蝋」を用いる手法を採用することになった。

修復チーム代表 Christian Eckmann 氏は次のように語った。「[ ツタンカーメン王墓発掘者 ] Carter が付け髭の最初の修復を試みた 1925 年 12 月からちょうど 90 年目に当たる節目の時に、黄金のマスクを元通りの姿でお見せすることができてとても喜んでいる」。

ツタンカーメン王の黄金のマスクは 1925 年、英国の考古学者 Howard Carter が玄室の石棺を初めて調査した時に発見されたが、マスクの顎髭は既に取れかかった状態だった。Carter はマスクを取り出す際、一旦付け髭を外し、その後再びマスクに取り付けた。同博物館員による「誤った修復」を合わせると、3度目にしてようやく黄金のマスクは本来の姿を取り戻したことになる。



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