2016年1月25日月曜日

3Dプリントモデルを使用した腎臓移植に世界で初めて成功

北アイルランド発:アントリム州に住む2歳の少女が昨年 11 月、3Dプリントモデルを使用した腎臓移植手術を受け、無事成功した。腎臓移植への3Dプリントモデル応用としては、これが世界で初めての事例だ。

Lucy Boucher ちゃんには胎児上室性頻拍症という不整脈があり、腎臓を含む全身の臓器が慢性的な酸欠状態となっていた。Lucy ちゃんは心臓の外科手術を受けたが、腎不全のために人工透析治療を生涯受ける必要に迫られていた。そこでセントトーマス病院およびグレートオーモンドストリート病院の専門医達は、Lucy ちゃんの父親 Chris Boucher 氏の腎臓1個を移植することにした。

執刀医達は Boucher 氏の腎臓および Lucy ちゃんの腹部 CT と MRI スキャン画像から取得した3次元データを基に再現した3Dモデルを光造形方式3Dプリンターで出力し、移植手術が実行可能かどうか、手術の各ステージ毎に検証してから実際の移植手術に着手した。4 時間にもおよぶ大手術だったが、精密な3Dモデルのおかげで移植手術は成功し、術後は父子共に順調に回復した。

教会の俗人副牧師を務める Boucher 氏はつぎのように述べている。「初めて3Dモデルを見た時、細部に至るまであまりにリアルに再現されていることに驚かされた。おかげで移植手術がどのように行われるかが具体的に掴めた」。

今回の父子間腎臓移植に3Dプリントを活用するアイディアを提供したのは、同病院移植外科研修医 Pankaj Chandak 氏だった。「今回の3Dプリントモデルの画期的活用は、極めて複雑な小児腎臓移植手術の計画作成に力となってくれるだろう。この事は我々の患者と執刀医双方にとって、あらゆる点で測り知れないメリットを与えてくれるものだ」。

参照元記事1
参照元記事2