2016年1月3日日曜日

ESA が 2030 年までに3Dプリントで「月面基地」建設計画を発表

オランダ南ホラント州発:ノールトウェイクに本拠を置く欧州宇宙機関 欧州宇宙技術研究センター( ESA / ESTEC )は昨年 12 月に開催された月探査に関連する国際シンポジウム「 International Symposium on Moon 2020-2030 」において、2013 年までに月面基地「ムーンビレッジ」を建設する構想を明らかにした。同シンポジウムには世界 28 の国と地域から 200 人以上の科学者と専門家が参加した。

それによると建材は全て月面で産出される物質から生成し、その建材を使用して住宅建設用3Dプリンターで組み立てる計画だという。同研究センター科学者によると、最初にロボットを月に送り込んで人間の「移住」前の準備を行い、準備完了後に人間が送り込まれ、建設作業に当たるという。会場でのプレゼンテーションで、科学者達は計画している月面基地の完成予想図等を披露した。同計画の目的は太陽系および太陽系外宇宙の探査、および「異星人の発見」だとしている。

ESA は 2013 年、月面で採取した素材から、宇宙線や小隕石といった人体に有害な影響をブロックする堅固なドーム型シェルターが3Dプリントで建設可能かどうかの実験を行っている。ESA 有人宇宙飛行計画チームの Scott Hovland 氏は次のように述べている。「3Dプリントは地球からの供給にあまり頼ることなく月面基地を維持可能にする手段となる。今回の計画によって切り拓かれる新たな可能性は、全世界の宇宙機関が現在開発中の共通の宇宙探査戦略の一環として検討するだろう」。

米航空宇宙局( NASA )で 30 年以上に渡って有人宇宙飛行計画に従事してきたエンジニア Kathy Laurini 氏は、今回の ESA による「月面基地」計画は火星への有人飛行計画にとっても大きな足がかりとなるだろうと話している。

「ムーンビレッジ」計画で使用される予定の3Dプリンターは英国 D-Shape UK Ltd. の「 Monolite 」。6m の鋼鉄フレームと移動式ノズルアレイを備え、砂状の建材に結合溶液を噴射して 1 層ずつ固めて建造する。現在、同社は「 Monolite 」で人工サンゴ礁を形成し、海岸侵食防止対策に取り組んでいる。



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