2016年4月21日木曜日

破壊されたパルミラ遺跡の「凱旋門」が3Dレプリカとして復活

英国発:昨年、イスラム過激派組織 USIS によって破壊された世界遺産パルミラに立っていた「凱旋門」がこのほど 3D技術で復元され、現地時間 4 月 19 日から3日間、トラファルガー広場で展示された。

このレプリカはドバイ未来ミュージアム財団、デジタル考古学研究所( IDA )、英オックスフォード / 米ハーバード大学、UNESCO 各機関の協力により、最新の3Dスキャニング技術を用いて高さ 5.5 m、実物の3分の2 の規模で復元されたもの。除幕式には未来ミュージアム財団代表 Saif Al Aleeli 氏、ロンドン市長、国会議員、考古学の専門家等が列席した。復元製作に掛かった費用は約 10 万ポンド。

凱旋門のレプリカはオリジナルを撮影した3D画像を基に、多項テクスチュアマッピング( PTM )と呼ばれる手法で出力した部材を更にロボットミルで仕上げられており、素材としてエジプト産大理石も使用されている。レプリカ製作を請け負ったのは伊 TorArt

IDA 所長 Roger Michel 氏は次のように述べている。「今回使用した技術の最も素晴らしい点は、単に細部に至るまで精密に調査し保全したということに留まらず、それを3Dプリンターや砂岩、大理石、セメントといった複合素材を加工して復元した事にある」。

IDA は、今回使用した3D技術を今後も中東 / 北アフリカ地域に散在する「危機に瀕する文化遺産」保全のために活用する方針。ドバイ未来ミュージアム財団の後援する「 Million Image Database 」には、世界各地のボランティアに配布された3Dカメラで撮影された3D画像が掲載される予定。

パルミラ凱旋門の3Dレプリカは3日間トラファルガー広場で展示された後、ニューヨーク市、次いでドバイ市でも展示される予定。Michel 氏によるとこのレプリカは来年にもパルミラ遺跡に運ばれて、本来の凱旋門の立っていた場所近くに永久設置される計画だ。

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