2016年9月12日月曜日

オール3Dプリントの 35 mm 判カメラ「 SLO 」

米国ニュージャージー州発:3Dデザイナー Amos Dudley 氏はレンズ、ボディ、シャッター、絞りなど全てのパーツを3Dプリントで製作したフィルムカメラ「 SLO( Single Lens Objective )」を自作、このほど公開した。3Dデータはオープンソースで、誰でも自作 / 改作ができる。

SLO は一般的な 35 mm 判で、全パーツは FoamLabs, Inc. 製 SLA 3Dプリンター「 Foam 2 」を使用してプリントアウトした( 許容交差 +- 0.075 mm、クリアランス 0.25 mm )。各パーツは加工しやすさを考慮したモジュラー式。同氏によれば最も困難だったのがやはりレンズで、ABS 素材のような炎研磨のできない樹脂でできているため、製作後は#12000 番マイクロメッシュペーパーによる手作業での研磨に数時間を要した。それでもなおレンズ面には微小な凹凸が残っていたため、商用レンズの研磨に使用するのと同じ原理の装置も自作して研磨スラリーを介して磨き、ようやく完成させた。

シャッター設計に際して、同氏は3Dプリントというデジタルマニュファクチュアツールを使用しつつも、200 年前の 19 世紀後半に考案されたシャッター板機構に立ち返っていた。試行錯誤の末、シャッター板機構はトグル連動ギア方式を、絞りは最小限の空間で最大口径を得るため、 Blender による3Dアニメーションで最適な機構を案出した。ただし速度調節機能はないため、シャッタースピードは「2 つのボタンを押し下げるときの指の速さ」で決める。回転式の絞りはレンズのすぐ背面に位置し、フィルムスプールも手動式。

Dudley 氏は完成した SLO にフィルム(   Fujicolor Superia 400 )を装填し、写真家の Rob Chron 氏と共にテスト撮影を行った。現像した結果、SLO で撮影された画像は四隅に「ケラレ」や遮光不良によるフレアなどがあるものの、ピンホールカメラのような独特な風合いの映像作品として記録されていた。


参照元記事1
参照元記事2