2016年11月26日土曜日

3Dプリントが化石燃料消費量削減の鍵とスウェーデンのアナリストが指摘

デンマーク発:北欧諸国を中心に事業展開するスウェーデンの金融グループ Nordea Bank AB は現地時間 11 月 24 日、コペンハーゲン市内で開催された国際エネルギー機関( IEA、事務局所在地:仏パリ市 )のカンファレンスで、3Dプリントや電気自動車( EV )といったデジタルテクノロジーによって全世界で消費される化石燃料の削減は可能とする見方を示した。

この発表を行ったのは同金融グループ石油アナリスト Thina Margrethe Saltvedt 氏。発表に先立ち IEA 事務局長 Fatih Birol 氏が最新版 World Energy Outlook 分析に基づき、化石燃料消費量は今後も増加し続けるとの懸念を表明したのに対し、Saltvedt 氏はこの懸念に真っ向から反論する形となった。

Saltvedt 氏によると、2000 年代は石油価格が高止まりする一方で代替技術があまり存在していなかった点を指摘。現在は環境に配慮した新技術開発が進み、低燃費で経済的な船舶や EV 車の増加などの相違点を挙げた同氏は、3Dプリントの利点についても言及した。

Saltvedt 氏は、3Dプリント技術の普及により、モノ作りの地産地消化がさらに加速するため、陸海空の遠距離輸送で消費される化石燃料総量も大幅に削減されると主張した。同氏の根拠となっているのは米通信社 Bloomberg による試算で、それによると 2040 年までに全世界の EV 車台数は約 4億 5,000 万台と見積もられ、さらにその一部の製造工程は3Dプリントに置き換わると考えられている。ただし IEA 側の試算はこれとは異なり、2040 年の全世界における EV 車台数は約 1 億 5,000 万台程度と予測している。

また Saltvedt 氏は化石燃料消費量削減につながる技術として太陽光および風力発電の普及も挙げ、「化石燃料消費量は今後しばらくは増加するが、2025 年以降は減少に転じるだろう」と述べている。

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