2017年3月20日月曜日

公立学校教育に急速に普及する3Dプリント

英国発:ここ数年、英国各地の小中学校で3Dプリンター導入の動きが加速している。その多くは 500 - 1,000 英ポンドのエントリーモデルを導入し、3Dプリント関連企業側も3Dプリント教育プログラムを無償提供するなどして教育界を後押ししている。

その 1 つが「 Create Education Project 」で、もとはオランダの3Dプリンターベンダー Ultimaker B.V. によって設立された。現在は独立組織として活動し、英国各地の小中学校に講師を派遣して教職員へのレクチャーや講座運営企画等を指南する一方、ランカスター市内の女子中学生を対象としたモノ作りコンテストも開催する。このコンテストでは実際に教育現場で使用する動物細胞の3Dモデル設計 / 3Dプリント能力を競う。

英国で唯一国産3Dプリンターを生産する Renishaw plc( LSE:RSW )もカーディフ近郊にある同社工場で、地元の児童生徒を対象とするワークショップを定期的に開催。ワークショップスペースには 5 台の3Dプリンターが常備され、生徒はそこで3D CAD 作成からキーホルダーなどの小物製作までを学ぶ一方、同社の産業用3Dプリンターが歯型や顔面インプラントなどを実際にプリントする現場を見てもらい、ワークショップで学んだ内容を体感する。

このような試みの成果が、たとえば 3 月にバーミンガム市内で開催された学生メイカーズコンペ「 Big Bang Fair 」にも現れている。チェシャー州の総合中等学校に通う男子生徒はプラスチック樹脂の3Dプリントおよび金属切削加工、電子回路基板まで実行可能な3Dプリンター / CNC ミル複合機を設計してエントリーし、またスコットランドのアバディーン市から参加したチームは光造形型3Dプリンターを開発して出場している。

NPO 法人 EngineeringUK 事務局長 Paul Jackson 氏は次のように述べる。「2009 年に初めてこのコンペを開催した時、3Dプリントのような実例を見せられることになるとは考えもしなかったし、このような劇的な変化が起こったのもほんの数年のことだ。若者がこのような最先端ツールを最大限活用する姿を見るのは最高だ」。

現実も同氏の言葉を裏付ける。同氏によれば教育省が学校教育現場への3Dプリント技術の試験導入を開始したのが 5 年前、参加校も 21 校のみだったが、現在は主流の教育ツールにまで成長を遂げているという。

参照元記事