2017年3月25日土曜日

世界初のバクテリア3Dプリント技術を蘭研究者グループが開発

オランダ南ホラント州発:デルフト工科大学( TU Delft )研究者グループはこのほど、改造した市販の3Dプリンターでバクテリア利用による新素材生成技術を世界で初めて開発したと発表した。同グループは4 月 3 - 6 日に英エジンバラで開催される微生物学会年次総会でこの研究報告を行う。

発表によると、ある種のバクテリアは酸化グラフェン( GO )シート上に置かれるとグラフェンの性質を残した還元型酸化グラフェン( rGO )を生成するという。通常、rGO 生成するには超高温や強力な化学反応などの厳しい条件が必要になるが、バクテリア3Dプリント技術なら一般に市販されている3Dプリンターを改造するだけで生成でき、環境負荷も低く、そして何よりも非常に低コストで生成可能なメリットがあるとしている。

概念実証デモでは海藻から生成されたゲルと大腸菌の混合物を3Dプリンターでカルシウムイオンを含む物質上に出力するとバクテリアが定着し、幅 1 mm 層でプリント可能状態となったという。

研究者グループの 1 人 Anne Meyer 博士の話「従来のバクテリア利用法は抗生物質のような化学物質生成に留まっており、バクテリアから新素材を作るということはまったく新しい経験。我々もゼロから手探りで研究を進めてきた。バクテリアを使用する利点は低コストで簡単、環境に優しいということに尽きる。専門知識も不要で、ただバクテリアを出発物質となる素材に混ぜるだけで、翌日にはもう完成している。有害廃棄物も一切排出されない」。

同グループがこのバクテリア3Dプリント技術で次に目指すのは、月表面の塵から新素材を生成すること。現在、人工的に作成した月表土で珪土からシリコンの生成と、酸化鉄から鉄の生成に取り組んでいる。

参照元記事1.
参照元記事2.