2017年5月26日金曜日

3D CAD ファイルに「盗用」を防ぐ埋め込み技術を開発

米国ニューヨーク州発:現在の積層造形技術( AM )は多くのインターネット上のクラウドリソースやクラウドベースソフトウェアに強く依存している。ニューヨーク大学工学部タンドン校准教授 Nikhil Gupta 氏ら 3 名のグループはこのほど、3D CAD ファイルに意図的に仕込んだ欠陥によって知的財産の「盗用」を防ぐ技術を開発したと専門誌 Materials & Design 電子版に発表した。

Gupta 氏のグループによると、3D CAD ファイルを3Dプリンターに送る際に使用される一般的な stl ファイルに格納される解像度やスライス制御、造形ベッド作動方向などの制御情報を一部加工し、本来のパラメーター以外の不正な条件下でプリントを試みた場合にのみ完成品に欠陥が出現する、というもの。この加工の施された stl ファイルを第三者が不正に取得してプリントにしようした場合、埋め込まれた「欠陥」の情報がそのままプリントアウトされるという。同グループは正当なパラメーター設定の3Dプリンターでプリントアウトして出力したキューブ形状のオブジェクトと、パラメーター設定のない3Dプリンターで出力したオブジェクトを検証した結果、後者の場合は本来充填されているはずのオブジェクト内部に穴が開いた状態でプリントアウトされた。

Gupta 氏の話「ファイルやクラウドリソースの保護には暗号化技術やパスワード保護といったサイバーセキュリティ技術が使用可能だが、CAD ファイル自体を盗まれたらどうしようもない。今回開発した新手法は流出した CAD ファイルの高精度プリントアウトを困難にするもので、これは大きなアドバンテージとなるはずだ」。

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