2017年7月29日土曜日

セラミック3Dプリントで次世代燃料電池を開発中

スペイン・カタルーニャ州発:カタルーニャエネルギー調査研究所( IREC )は現在進行中のプロジェクト「 Cell3Ditor 」で、セラミック3Dプリントによる次世代燃料電池の開発に取り組んでいる。

「 Cell3Ditor 」は環境に負荷をかけないセラミックス向けマルチマテリアル技術を援用して、固形酸化物形燃料電池( SOFC )を開発することが目的のプロジェクト。SOFC は現行の燃料電池では最も高温( 700 - 1000°C )で動作する。全て固形のセラミック素材でできており、発電効率も高い。

この技術の課題はセラミック素材の耐久性とコスト効率および 100 以上もの工程からなる複雑かつ時間のかかる製造法だが、同研究所ではセラミック3Dプリントが課題克服の切り札となるかもしれないと期待する。SOFC を現行方式で組み立てた場合、製造コストは約 480 万ユーロと見積もられ、これが SOFC 導入と多様な応用への足かせとなっている。3Dプリントで SOFC コンポーネントが製造できれば複雑な製造工程も劇的に単純化され、同時にコスト削減も達成可能となり、大量生産の道も開ける。

同研究所には市販の SLA 3Dプリンターを改造したセラミック専用3Dプリンターとして導入されている。この3Dプリンターはマルチマテリアル対応で、概算で5kW 出力の SOFC が 4 基同時に製造可能で、年間 1,000 基の製造も可能。最終製品コストは 1 基当たり約 500 ユーロ以下になる見込みで、これは標準的製造方式の 59 % 減になるという。

同プロジェクトは「燃料電池 / 水素電池合弁事業」を通じて EU の資金提供を受けており、セラミック3Dプリンター製造の 3DCeram をはじめ Hygear Fuel Cell Systems、Promethean Particles、Saan Energi などの欧州の先端企業とデンマーク工科大学、ラグナ大学などが参画している。

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