2017年8月5日土曜日

3Dプリントモデルで手術時間が約 25 % 短縮に

米国カリフォルニア州発:カリフォルニア大学サンディエゴ校( UCSD )の研究者グループはこのほど、9 - 16 歳の成長期の子供に多い股関節形成不全手術に3Dプリントモデルを使用した場合とそうでない場合との比較検証実験を行い、3Dプリントモデル使用で手術時間が約 25 % 短縮されることが分かったと機関誌 Journal of Children's Orthopaedics発表した。

実験を行ったのは Vidyadhar Upasani 博士ら同大学の生物工学研究者および Rady 子供病院の小児科医らのグループ。Upasani 博士らは 10 名の患者を二手に分け、5 人には3Dプリントモデルを使用した外科手術計画を立て、残り 5 人には従来通りの施術計画を立てた。またそれとは別に 2 名の外科医に 5 人の患者を従来通りの施術計画を立てさせた。その結果、3Dモデル使用の場合は従来手法を用いた 2 つの被験者群より 38 - 45 分手術時間が短縮され、これは手術 1回当たりの費用が最低でも約 2,700 米ドル軽減されることになるという。

大腿骨頭滑り症( SCFE )は毎年、米国の 11 歳の子供うち約 10 万人が罹患すると言われ、特に肥満児の増加に伴い年々その数は増加傾向にある。従来方法では執刀個所を様々な角度で X 線撮影して大腿骨末端部の矯正術を決定していたが、手術中の患部は直接目視できないため施術中も X 線撮影が必要で、 X 線被曝の問題がある。加えて時間がかかるうえ、患者に対してどのような手術になるか事前説明可能な、あるいは執刀医の確認のための物理模型もない。

3Dプリンター導入費用は約 2,200 米ドルだが、一度導入すれば手術 1 回につき約 10 ドルしかかからない。Upasani 博士によると検証結果に非常に気をよくした Rady 子供病院では既に3Dプリンター導入済みで、同博士によれば「3Dプリントモデルはとても役に立っており、今ではこれなくして手術計画は立てられない」。

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